フローリングでキメる!

ユーザー アーキシップス京都 古前極 の写真

フローリングは無垢材が高級品、と思い込んでいませんか?
今では、無垢材の質感と合板の機能性を両立した高級材が、多く出回っています。

ハウスメーカーや工務店へのアンチテーゼとして、自然素材がブームになった時期がありました。
メーカーで多用された新建材に対して、注文住宅で使える「自然素材」という概念が好まれ、フローリングは無垢材が一番、と考える人が増えました。
いわゆる新建材は、それ以前の建材の問題を克服するため開発された安定性の高い工業製品ですが、建材にも質感や色、風合いを求める消費者が増え、その象徴として無垢材が好まれるようになりました。

11年前に新築した自邸では、無塗装の杉とリボス仕上げのカリンの、いずれも無垢フローリングを使用しています。
杉の柔らかい質感は大変心地いいのですが、柔らかさゆえに傷がつきやすく、経年変化による木材の動きも見られます。
一方でカリンは、日焼けなどの経年変化はありますが、木材の動きの問題はありません。
この経験から、依頼者にはそれぞれの特性をご理解の上で選択していただくよう、お話ししています。

ここ数年は無垢材より突き板のフローリングが好まれるようになってきました。
表面に無垢材を使用した突き板フローリングは、無垢材の美しさと合板の手軽さ併せを持ち、床暖房対応やUV塗装など機能性商品も増えています。
無垢材だけが高級フローリングと言う概念は、すでに過去のものになりつつあります。
メーカーや輸入商社各社も細分化するユーザーの指向にフィットする努力を続けて、目的やデザイン、環境に合わせて、フローリングを選択できる時代が来ています。

フローリングにもインテリアデザインに合わせたトレンドがあります。
この数年はヨーロッパのデザイントレンドに影響された、ラスティック(荒々しい)、年代を重ねたヴィンテージ志向が続いて来ました。
建築でのガラスなど無機質な素材の多用と、手触り感や物語性・歴史的背景を求めるIT社会ゆえの方向性が、合致したトレンドのように感じます。

写真はフィンランド製の4mmの無垢材を表面に使った突板合板で、足触りの触感もよく、F☆☆☆☆認定済み、床暖房にも対応したフローリングです。
木のイメージを覆す、グレイッシュでスモーキーな、独特の中間色が魅力です。

またフローリングは、物件に合わせて作ることもできます。
写真は、オーク材に彩色して作ったフローリング。
色や質感の試行錯誤を重ねて、家具や壁天井の仕上げなど他の素材との調和を追求します。
色むらを強調したい、家具や壁天井まで含めて中間色でまとめたい。
ガラスや光沢のある磁器タイルとコントラストをつけるために、ザラザラした質感を演出したい。
様々なご要望に答えられる選択肢が用意されています。

フローリングで室内の印象はキマリます。
ご自身のお好みを探してみませんか。

このコラムは、注文住宅を計画する方の参考になることを目的に、弊社の経験に基づいて書き下ろします。
トピックス、技術、経験の内容は、主観に基づくことをご了承ください。