中庭と屋根について

ユーザー 三浦尚人建築設計工房 三浦尚人 の写真

私の設計事務所では、中庭のある家いわゆる「コートハウス」と呼ばれる住宅を多く設計監理しています。 

中庭のある家を設計する大きな理由のひとつに、中庭を介して光を取り込むことがあります。
住宅地、特に家と家が接近している住宅密集地では、隣家側に面した外壁面にいくら開口部を設けても採光は期待出来ないため中庭を設けることで、そこから採光や通風を確保する設計手法があります。 

そのため、中庭に面しては幅Wと高さHが比較的大きい開口部となる場合が多くなります。
このことと関連して屋根の形状と勾配、軒の出も検討しておく必要があります。 

中庭のある家はプラン上、中庭を囲むようにコの字型、L字型、ロの字型などと呼ばれるように建物が建っており、建物のボリュームや方位、斜線制限(北側、道路)を考慮して屋根の形状と勾配、軒の出を決定します。 

その際に注意が必要なのは、中庭に向かって屋根勾配が下る(水下になる)ケースです。 

多くの場合、屋根の水下の先端には雨水を受ける軒樋が付き、その軒樋に集まった雨水は竪樋へ流れ落ちていく仕組みになっていますが、中庭に落ちてくるこの竪樋の数と位置が重要になってきます。 

中庭に面して大きな開口部があるため、竪樋を落とす位置はおのずと開口部が無い位置に限られてきます。さらに、中庭へ流れ落ちる屋根面に雨水の量に応じて、必要な竪樋の本数も決まってきます。 

以上のことから、中庭のある家では屋根の架け方と勾配、軒の出について念頭に置いておくことが大切です。