設計図と施工図の違い

ユーザー ❨株❩アトリエ Y&R 栗城裕一 の写真

設計図と施工図? はてなんでしょう?と思われる方が多いことと推察いたします。図面にそんなに何種類もあるのか?と思われると思いますが、建築図にはいろいろな分類があります。設計者が作成するものは設計図ですが、それをもとに施工者が各職方(たとえば、大工さん用、タイル屋さん用、鉄筋工のためのものなどなど)のために作成するものが施工図と呼ばれています。私のところでは施工図も当方で作成することが多いですが、ほとんどの事務所では施工業者に描かせています。木造の住宅でも、細部の納まりなどは現場の進行に合わせて、実際に施工できるように設計図から原寸図などを起こして職人にわかりやすいように現場監督が施工図を描いたり、あるいは施工図専門の人に描いてもらったりして現場で設計者の意図に沿った形にできるようにします。柱、間柱、梁などの細かい配置や加工の仕方なども施工図によって検討されます。たとえて言うならば、音楽作品でいえば作曲家が作った総譜を各パートの譜面に分解してあげるようなものに近いかもしれません。設計者の作った実施設計図から、たとえばコンクリートの建物でしたら鉄筋の加工図なども施工図ということになります。このようなものを作成することによって、コンクリートがうまく打設できるようにしたり、細かい数量も計算できるようになります。昔は、この施工図は現場で工事を請け負った会社の人間が現場の所長の指示により作成していましたが、現在では施工図専門の事務所があり、そこで作成したものを使って現場を進めていくということが主流です。各下請け業者がそれぞれの分野での施工図を描くということもごく一般的になっています。