輻射式暖房は理想の暖かさ

ユーザー アーキシップス京都 古前極 の写真

真冬でも春のような暖かさを得られる、輻射熱暖房。
上下の温度ムラや風切音がなく、じんわり寒くない、使用感では理想の暖房と言えます。
その感触は「あったか〜い!」と言うより、暖かいとか涼しいとか、暑いとか寒いとか、温度を意識する感覚から解放される、いわば無感覚。
季節を感じないことこそが一番快適な状態で、それが輻射式の暖房の「春のような」心地良さです。

蓄熱式床暖房

弊社では長らく、蓄熱暖房機と床下暖房をエアコンと組み合わせた冷暖房システムを構成してきました。
室内の温度ムラが少ない輻射式暖房の代表である床下暖房機は、大変優れた暖房方法です。
輻射式の最大の特徴は、輻射熱の作用によって壁や床など室内で人体を取り囲む物質をも温める点です。
人体に直接届く暖かさとの両輪で、「春のような」暖かさを作り出します。
しかし東日本大震災以降に深夜電力の新規契約が打ち切りになったことで、基礎土間や基礎下に深夜電力で蓄熱層を形成する蓄熱式暖房器使用時の電気代が、跳ね上がる結果になりました。
そこで弊社では、輻射式の床下暖房の選択肢を探してきました。
今回初めて、ヒートポンプ式の蓄熱式床暖房を採用することになりました。
基礎の土間に蓄熱層を形成する方式は従来と同じですが、コンクリートへの蓄熱を、温水管を張り巡らせ、ガスや電気で作った温水をくまなく行き渡らせることで蓄熱する暖房です。

基礎土間に水が通る管を這わせて温水を回し、基礎土間ごと蓄熱層を作る暖房方式の採用結果は、大正解!
室内はまさに「冬を忘れる」暖かさが実現しました。
壁や天井まで暖める副産物か、梁の乾燥が促進されているようにも感じましたが・・・。

暖房方式による体感温度の変化を表した概念図

上の写真は暖房方式による体感温度の変化を表した概念図です。
左:床暖房 足元を温める床暖房は蓄熱層を構成しないため、輻射熱と言うより熱伝導と言われます。足元だけを温めます。
中:蓄熱式床暖房 輻射熱が建物を温め、室内の温度差が少なく、体感温度に優れます。
輻射熱を利用した暖房は、人体に直接到達して体感温度を得る効果と、床・壁・天井を温めてその二次輻射により体感温度を高める効果があります。
右:エアコンの暖房 導入・ランニングともコストにすぐれ、多機能化も進みますが、高温の吹き出しに伴う空気の乾燥や上下の温度差が難点です。

冷暖房の温度調整も大事、断熱も大事、それらを生かす空調も大事で、3つの最適バランスを組み合わせることで、365日心地よい住まいが完成します。

このコラムは、注文住宅を計画する方の参考になることを目的に、弊社の経験に基づいて書き下ろします。
トピックス、技術、経験の内容は、主観に基づくことをご了承ください。