軒のない家

ユーザー ❨株❩アトリエ Y&R 栗城裕一 の写真

 軒のない家は都心部ではとても多くなりました。
 昔の家は屋根が外壁よりだいぶ張り出していて外壁を守るようになっていました。日本のように雨の多いところでは至極当然の造り方だったと思います。だいたい3尺(90cm)くらいは張り出しているものが多かったように思います。ところが、最近では敷地も狭くなり、軒先や庇を張り出すのが難しくなっています。さらに、コスト削減の効果もあるので軒の出が少ない、あるいは全く軒が出ていないという住宅も多いです。
 写真も片流れの屋根で構成された小さい住宅ですが、軒は出ていません。しかし、外壁からは50mm出していてそこに破風板(屋根と外壁との間で納まりや機能的なうえで造られる板状の部材)がついています。よく建売住宅などで見かける破風板が外壁にくっついているデザインのものがありますが、これは雨仕舞が良くありません。破風板から伝った雨がすぐに外壁をたどっていきますので外壁を汚したり水分を過剰に外壁に与えたりすることになりますので、少しでも縁を切っておくことが望ましいのです。そしてそれはボックスタイプに見える都市型住宅に一定の品格を与えることにもなります。