古民家再生

ユーザー TAM建築設計室 新井敏洋 の写真

住まいづくりは物語がある。
だから設計は面白い。
私どもにすべてを任せされることはまずない。
一緒に考えていくから楽しい。
敷地440坪に築年数70年の母屋100坪、蔵と倉庫2棟。
市街化調整区域の場所に母と子供家族4人の2世帯で住む計画から始まった。
計画は母屋改築2世帯、母屋再生2世帯、母屋再生+離れ新築の3つ。
それぞれを計画し予算を出していく。
予算と住まい方のイメージが皆で一致することが大事である。
古民家再生の実際を紹介したり、ハザードマップなどの情報共有、再生する場合の構造対応、快適性の確保、分棟する場合の都市計画法的な段取り等を合間にご説明していく。
代々の敷地であるため、なかなかいじれない想いのある蔵や庭があり、時間をかけることで大まかな住まい方のイメージが出来ていく。模型は特にイメージしてもらうのに役立つ。
母屋を減築し母が住む母屋、子世帯の離れということなる。
最初にお会いした時に子世帯より再生の話があり、母親も再生事例を見ていたようだ。
小屋裏案内でも小屋組みが生かせないものかとの話もでている。
子世帯は将来自分たちが住むことも考えて母屋再生を考えていたと思う。
結論はあったのかなかったのか、母屋が再生事例のようになるのかとのご不安もあったものと思う。
設計では住まいの安全と快適も大切だ。
特に耐震と断熱。
母屋は回りが下屋で囲まれているため下屋部分を基礎から改築、主屋部分は新設スラブと木軸の接合、仕口の金物接合等構造計算ソフトを使用してそれぞれの部位を検証しながら設計。
断熱は4等級で床暖房等の快適設備も取り入れた。
離れは耐震2等級、断熱4等級、こちらも床暖房。
当時、断熱の公的補助金(住宅エコポイント)が出ていたので積極的に採用した。

改修前の住まい。
正面右が増築部。
今は使用されていない蚕小屋の小屋裏がある。
子世帯は梁組に魅力を感じていたようだ。
主屋の部分の欅の柱と差鴨居は解体するには惜しいもの。
下屋がかなり傷み、増築部は既存部の構造を寸断しており、屋根納まりも悪い。基礎も脆弱のため取り壊し。
建坪の1/3は取り壊し造り替えとなり、構造の補強部分となった。

分棟した場合の離れの位置検討。
蔵を補修せず解体し離れをつくる案。
整備された母屋表側をコンパクトに利用するため外構整備費が少なくて済む。

母屋の裏側に離れ。
裏の敷地が入る模型土台に作り直し。
裏側は倉庫と手を入れていない数本の庭木のある裏庭。(前写真参照)
整備費はかかるが離れにオープンな楽しいスペースが出来るため提案。

下屋や増築部を撤去。
主屋の構造部のみとなる。
屋根は木軸の変形を防ぐため、建て方終了まで残し。

柱を固定するためのベタ基礎。

柱+根がらみをベタ基礎にアンカー固定。

外周部は基礎と下屋の木軸を改築し主屋を支える構法とした。

瓦を下ろし建て方。

屋根工事。

外観

内観

小屋裏

離れ