古民家再生

ユーザー 青井俊季建築設計事務所 青井 俊季 の写真

古民家は、昔から美しい日本の里山の風景に溶け込んできました。 
しかし、人口の都市への集中に伴って、毎年沢山の古民家が空き家となり、放置されれば、朽ち果てていきます。 
私は一人の建築家として、この古民家を一棟でも多く遺していきたいという想いから、7年前に京都・丹波地方にあった一軒の古民家を買い取り、再生して活用しています。 
古民家が空き家となる大きな理由は、後継者が都会へ出てしまうことですが、他にも現代の住宅としては住みにくいということがあります。 
「暗い」「寒い」「使いにくい」が、古民家が住みにくい3要素だと、私は考えています。
そして、その3要素を改善していくことを、古民家再生の設計上の課題としています。

改修前の外観です。 
明確な建築時期はわかりませんが、近所の方の話から考えると、おそらく大正の初期に建てられた、このあたりのごく一般的な兼業農家の住宅だったと思われます。 
屋根はもともと茅葺で、葺き替えが困難になったおそらく数十年前に、鉄板の菱葺きを被せた状態になっています。

古民家は軒が深いので、室内が暗いため、家の中央にある6畳間の天井を撤去して、屋根に穴を開けて窓を設けました。 
鉄板を切り取ってめくると、茅葺き屋根が出現します。茅の厚みは30㎝くらいあって、切り取った茅で庭が一杯になりました。

外壁と床下、小屋裏には断熱材を入れて、窓はペアガラスの建具に入れ替えました。 
構造的に必要な耐力壁などの補強を行ったほかは、室内の意匠はなるべく元のまま残しています。

もともと囲炉裏の煙出しと柴置きに使われていた小屋裏は、来客用の寝室として使用しています。 
蒸し暑い夏場でも、屋根の窓を開けると、家中の空気が一気に抜けます。分厚い茅の屋根は断熱効果が大きく、部屋の中はひんやり涼しく快適に過ごせます。

古民家は、失ってしまえば二度と取り戻せない、小さな日本遺産です。 
この灯りをいつまでも灯し続けて、里山の命を継承していきたいと思います。 
詳しくはWebサイトもご覧下さい。
https://aoitoshiki.com/works/old_fork_house/ 

現在、京都と福井で、2棟の古民家再生が進行中です。