高台の風対策

ユーザー 芦田成人 建築設計事務所 蘆田 成人 の写真

私共が設計させて頂いた「高台の景色を生かしたピアノ教室のある家」の住まい手さんは、高台に住むことを望まれて土地を購入されました。高台からの眺め、それはとても素晴らしいものであります。 
 
しかし、その反面、荒天時の風がとても強く室内に居ても心細さを覚えるほどになる時もあるとの事です。高台の前面に何も遮るものが無い土地ゆえに、そのような心配は建築前から判明していたことでもありました。 
以前、台風の時には高台の麓にあるガソリンスタンドの看板が風で飛ばされて、数件隣の家を直撃したこともあったそうです。 

高台の景色を生活空間に取り込むには大きな窓は必需ですが、しかし風に対する備えも必要。
そこで私どもが提案したのは「雨戸」でした。 

「雨戸」と言っても昨今、色んなタイプがあります。窓の上から降りてくるタイプ、従来からある横にスライドさせるタイプ。いずれにしてもそのまま雨戸だけを付けたのでは窓の上にシャッターボックスが取り付いて見た目が悪い、横にスライドするタイプも、そのままでは如何にも付けた感があり、存在感が大き過ぎます。 

今回、こちらの住まいで採用したのは横にスライドするタイプの物を製作しましたが、未使用時には戸袋内に雨戸が納まり、存在感を消す、と言うものです。
このようにしておくことで、見た目はすっきりしながら強風時に雨戸を閉めることで大きな窓を守ってくれます。 

今回は製作物の雨戸でしたが既製品の雨戸でも同様に戸袋を製作物とする(既製品の戸袋では無く)ことで建物の体裁を崩さずに納めることが出来ます。 

写真の2階右手の赤茶色の部分が戸袋です。窓と一体的に設計することで違和感なく納まります。

この大きな窓の外側に作り付けの雨戸が備わっていて、強風時にはしっかり窓を守ってくれます。