断熱窓の決定版

ユーザー アーキシップス京都 古前極 の写真

高気密高断熱住宅を計画する際、もっとも注意する3つのポイントがあります。
それは、
1 断熱 外壁・屋根天井・床の断熱材で、熱・冷気の出入を防ぐ
2 気密 開口部(窓や扉)や屋根天井・壁・隙間の、空気の出入を防ぐ
3 換気 室内温度を保持できる換気扇を採用する
何しろ、冬は熱の50%が窓から逃げるし、夏は70%以上の暑さが窓から入ってくると言われているのです。
窓からの熱の出入りをコントロールすることで、快適な室内環境に近づきます。
さて、どのように最適な窓を選べばいいのでしょうか?

窓の断熱性能は、窓を構成する3つの部材と開き方で決まります。
 ・枠   建築躯体側で窓を受ける、窓の額縁
 ・障子  窓ガラスの周囲、ガラスを止める枠材のこと
 ・ガラス 窓にはめるガラスそのもの
 ・開き方 窓の開き方、両引き以外にも種類が豊富
枠と障子の材料は、断熱性能が高いのは樹脂製、金属のアルミは熱を通しやすいと言われます。
窓は室内側と屋外側のパーツで構成されるので、室内側を樹脂製に、屋外側をアルミ製にした折衷案もあり、断熱性能では樹脂とアルミの中間に位置します。
ガラスは断熱効果の高い順に、3枚のトリプル、2枚のペア(複層)、従来の単板ガラスに分けられ、トリプルガラスは単板ガラスの4倍の断熱性能があると言われます。
ガラスは実に様々な種類がありますが、断熱窓には特殊な金属皮膜を施したLO-Eガラスで断熱や遮熱性能を高めたものもあります。

トリプルガラスの断熱性能

窓の開き方にも多くのバリエーションがあります。
お部屋の窓といえば、日本では引き違い窓を想像しがちですが、構造的には断熱性能が高い方ではありません。
引き違い窓には、障子が移動するためのレールの隙間や水抜き穴があって、障子と枠が密着する構造ではないからです。
窓の気密性を高めるためには、障子(窓そのもの)と、枠(窓を受ける建築躯体)を、パッキンのようにぴったり密着させる必要があります。
そこで断熱窓は、開閉ができないFIX窓や、窓の4周をぴったり密着できる滑り出しや内倒し窓が主流になります。
YKK APならAPW430、LIXILならレガリスなど日本のメーカーにも高性能な断熱窓が登場していますが、引き違いは種類が少なかったり、引き違い窓そのものがなかったりします。
断熱先進国のドイツでは、窓といえば内倒し窓が常識とか。
寒さの厳しいところでは、窓は開けるためのものではなく、閉じるためのものなんですね。
数値上の断熱性能を高めるためには、引き違い窓の使用を最小限に止める必要があるようです。

トリプルガラスの片引き

断熱性能で窓を選択する時、装飾や光を入れる目的の窓なら樹脂サッシのトリプルガラスでFIX窓が、最も断熱性能に優れます。
寝室に朝の空気を入れたい・・・など開閉が必要な場合は、滑り出し窓や内倒し窓がお勧めです。
テラスにでる掃き出し窓なら、トリプルガラスの樹脂サッシにブラインドやカーテンを組み合わせて、日射と熱の出入りをコントロールすることができます。

目は心の窓・・・などというように、窓は内と外をつなぐ、社会生活に欠かせない住宅設備です。
家を建てる目的やライフスタイル、予算を総合的に考慮して、我が家の窓を考えたいですね。

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このコラムは、注文住宅を計画する方の参考になることを目的に、弊社の経験に基づいて書き下ろします。
トピックス、技術、経験の内容は、主観に基づくことをご了承ください。