農家住宅の売買

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農家住宅の売買には留意すべき点がいくつかあります。ひとつずつ見て行きましょう。

農業従事者が居住する住宅は、市街化調整区域であっても建築することが可能です。
農業従事者とは、単に農作物を栽培しているだけではなく、10アール以上の市街化調整区域内の農地で年間60日以上農業に従事している農家の世帯責任者をさします。

市街化調整区域であっても不動産の売買自体は自由に行うことができます。
しかし、住宅ローンを利用して購入しようとしても、都市計画法に適合している物件でないと、融資を受けることはできません。
したがって農家住宅を一般の会社員が購入しようとしても、住宅ローンの融資が受けられないのです。現在、国は空き家対策として、既存住宅の用途変更を状況に応じて行う運用方針を打ち出しています。運用方針には拘束力がないため、実際にどのように運用するかは、都道府県の判断に委ねられていますが、現在多くの都道府県で、農家住宅から一般用住宅への用途変更を認める流れになっています。
ただし転売目的の農家用住宅の建築を防ぐために「10年以上農家住宅として使用した実績がある」といった判断基準が定められています。
この用途変更が認められれば、誰でも住宅として利用でき、建て替えも可能になりますから、売却する際の支障はなくなります。
留意する点としては、用途変更を行うには許可申請が必要ですが、この場合の申請者は、不動産の所有者である農業従事者に限られます。
万が一用途変更許可を受けないまま、一般住宅として売却をすると、次の買主は用途変更が行えないばかりか、増築や建て替えに関するすべての許可申請が認められない、事実上の再建築不可物件になってしまいます。
不動産を有効に生かすためにも、農業従事者である所有者の用途変更許可申請は不可欠です。