室温を保つ換気

ユーザー アーキシップス京都 古前極 の写真

高気密高断熱住宅を計画する際、もっとも注意する3つのポイントがあります。
それは、
1 断熱 外壁・屋根天井・床の断熱材で、熱・冷気の出入を防ぐ
2 気密 開口部(窓や扉)や屋根天井・壁・隙間の、空気の出入を防ぐ
3 換気 室内温度を保持できる換気扇を採用する

人体にも建物にも欠かせない換気。
生活で発生する水分や汚れを排出し、新鮮な空気を取り込み、室内環境を良好に保ちます。
換気扇の種類は多く、選択に迷うことがありますが、住宅の場合は
1 パイプファンか、熱交換型か
2 部屋ごとに換気するか、家全体で換気するか
くらいの大雑把な理解でいいと思います。
従来の住宅では、パイプファンを部屋ごとに取り付ける方式が一般的です。
パイプファンは部屋ごとのオンオフが可能で、建築コストも安く、現在まで広く普及しています。
しかしパイプファン換気扇は壁に孔を開けて設置する構造上、断熱性能を損いがち。

熱交換型

その欠点を補うのが、熱交換型の換気扇です。
熱交換型は、排出される空気の熱を換気扇内部で回収し、温度を新鮮な空気と共に室内に貫流させます。
空気の汚れを排出しながら温度の大半を保持するので、真冬の換気でも室内の温度が下がりにくいのが特徴です。
弊社で設計する物件は、可能なかぎり熱交換型を使用します。

セントラル方式

では、部屋ごとの換気か、家全体での換気か、この選択では、断熱性能の観点でいえば、後者が優位に立ちます。
家全体で換気を行うセントラル方式の場合、浴室と台所以外は外壁に取り付ける給気口と排気口が最少ですみます。
部屋数だけ換気孔があく部屋ごとの換気より、断熱性能はより高まります。
屋外から空気を取り込む場所を限定することで、供給する空気の質をコントロールしやすくなります。
外壁に開ける孔が少ないため防音効果にも優れます。

セントラル方式の換気ユニット

換気の要諦は、屋内に空気の通り道を作ることと、必要量の空気を確実に供給し排出できることの2点です。
日本の家づくりでは、トイレや浴室、台所などの局所で換気扇を回して空気を屋外に排出し、給気口や隙間から空気を取り入れ、家の中に自然に空気の流れを作ってきました。
においや水蒸気を出す場所で強制排気して、居室に新鮮な空気を引き込み、空気の流れができる合理的な考え方です。
ところが新鮮な空気を居室に取り入れる過程で冷暖房効率を低下させたり、建物の断熱気密性能が上がって汚染空気が室内にとどまったり、と弊害が目立つようになりました。
そこで近年、計画換気の重要性が認識されるようになりました。
家を建てることを考える時、空気をコントロールして室内環境を最良に保つ工夫も、忘れないようにしたいものです。

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このコラムは、注文住宅を計画する方の参考になることを目的に、弊社の経験に基づいて書き下ろします。
トピックス、技術、経験の内容は、主観に基づくことをご了承ください。