老後の小さな家の間取り

ユーザー ARKSTUDIO一級建築士事務所 茶之木宏次+羽木みどり の写真

100年以上経つ、大きな古い伝統木造の日本家屋にお住まいの、ご高齢のご夫婦。
その古建築は、阪神大震災の時に大きく揺れて、柱と梁を繋ぐホゾが緩み、柱が傾いてしまい、その後の度重なる地震による建物の揺れに、不安を抱きながら暮らしておられました。
しかし、大きな家なので、耐震改修するにはかなりの費用が掛かるということで、何年も思案されていたようです。
また、そのお住まいは、伝統家屋特有の間取りで、客間の和室8畳、6畳、広縁を、庭に面した表に取り、日常生活の場が、裏の日当たりの悪いところになっていたこともあり、ご相談を受け、古い家を耐震改修してお住まいになるより、離れを新しく建て直して、そこを中心とした生活の場とされることを提案しました。
価格の面からも大きな家を耐震改修するよりもかなり安くなり、生活のための新しい住まいを、キッチン、ダイニング、リビングを集約させたワンルーム空間とし、玄関ホールを介在して、水回りと寝室を接続させ、また、古屋とは渡り廊下で繋ぎ、離れの形で新しく建て替えすることになりました。
そして、その結果、今までの隙間だらけの木造の寒い生活が、高気密高断熱住宅で、温かく暮らせるようになり、また、何よりも、生活の動線がコンパクトにまとまり、快適な暮らしが出来るようになりました。
新しい家ではお部屋からの庭の眺望もさることながら、ハイサイドの窓からは今まで、この敷地からは全く見えなかった、一軒となりの神社の大楠を眺めながら、周りの美しい景色を内部空間に取り込みつつ、心豊かに、快適に暮らしておられるようです。