茶室の有名建築 (Vol.3783 今回のお題)

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茶室の有名建築  (Vol.3783 今回のお題)

現在、国宝に指定されている茶室としては下記1.~3.の3棟である。
1.「待庵」(たいあん)
現存する最古の茶室建築としては、「待庵」が挙げられる。
千利休により室町時代の明応年間(1492-1500)に建てられたと思われる。
その後の茶室の模範となっており、豊臣秀吉とのかかわりも知られている。
2.「如庵」(じょあん)
 千利休の弟子である、織田有楽斎が江戸時代初めの元和4年(1618)頃に建てられた。
 当初、臨済宗大本山建仁寺の塔頭 正伝院内に建てられたが、現在は愛知県犬山市の有楽苑に移
築されている。
3.「蜜庵」(みったん)
 茶人・造園家の小堀遠州により慶長年間(1606頃)に建てられたとも思われる。
 書院造り(床の間、付書院、違い棚等の備えがある)の茶室として貴重である。
 大徳寺塔頭の龍光院に現存。

国宝以外では下記が貴重である。
4.「弧蓬庵 忘荃」(こほうあん ぼうせん)
 江戸時代初期に千利休の弟子である小堀遠州によりつくられた。
 忘荃とは「目的を達成すれば道具の存在を忘れる」という意であり禅の悟りと結び付けられてい
る。

また、昨今は上記茶室と違い様式にとらわれないユニークな「茶室建築」も多くみられる。 
下記に紹介してみる。

5.「光庵」(こうあん-ガラスの茶室-)
 デザイナー・アーティストの吉岡徳仁により、2011年に発表された。
 2011年の第54回ヴェツィア・ビエンナーレ国際美術展に出品され、その後東京国際美術館にて
屋外に設置された。
 光をガラスによって表現したこの茶室は、伝統的な掛軸や生け花はなく、太陽の光によって水面
のような輝きを生み出している。

6.「空飛ぶ泥舟」(そらとぶどろぶね)
7.「高過庵」(たかすぎあん)
8.「低過庵」(ひくすぎあん)
9.「五庵」(ごあん)
 6.~9.は建築史家・建築家の藤森照信氏による4部作の茶室である。
いずれも長野県茅野市に建てられており、地元の材料・職人・住人(一般・友人)の手
により建設された。そのユニークな発想は精神性を表現しており、人を引き付けてやま 
ないものがある。