猿橋を見て建築を学ぶ
富士山十里木アトリエへの行き帰りの東名高速は年末集中工事で渋滞です。
今回は、中央高速を使いました。
そして途中、大月にある日本3大奇矯の猿橋を観ました。
江戸時代に現在のかたちとなったようです。
長さ、高さ共に31mの桂川にかかる甲州街道沿いの木造橋です。
材料は腐朽に強いヒバ材、20年毎の架け替えと調達を考えると
10mくらいの材料までが使用出来たのでしょう。
地元の鳶、大工、錺屋等が意見を出しながらの工事だったのでしょうか。
両岸壁に桔木(はねぎ)を埋め込んだ石垣。
2列の桔木の上に枕梁をのせ、それを4段にかさね、両岸からせり出していく。
両岸からそれそれ1/3程になり、残り部分の10m程に桁を乗せる。
桔木部分の10mには半分5mのところに梁をのせ束をたてて両岸石垣に
埋め込んだ桁とつなぐ、つなぎは台持ち継ぎのようです。
2列の行桁の上に1間の間隔で大引を通しその上に4尺5寸の間隔に根太を
その上に床板を張る。
全体的にむくり(上にふくらむ形)があるのも、荷重変形防止、雨水だまり防止など
のためと考えられます。
建築の伝統的工法です。
桔木の力強さとむくりの優しさが美しい造形となっています。
また、木材の腐朽防止のために錺屋が木部に屋根をかけているため奇矯に見えるのでしょう。
改めて、日本3大奇矯の錦帯橋を調べてみると、こちらも木造アーチ橋ですが主構造となる
橋桁は角材をアーチ状につなぎ楔、ダボ、巻金、斜材で固定しています。
ヨーロッパでは14世紀には木造トラス構造が建築で使われ、その後木造のトラス橋
に発展していったようです。
建築は石づくりの壁の上に屋根を掛けるためのトラス梁なのでしょう。
トラスが発展したのは乾燥した地域の建物と思われるので、2支点間の大梁を考え、
多雨の日本では木造の耐候性のため、庇を伸ばす桔木などが発展したのでしょう。
東洋と西洋、様式の歴史、風土と建築なかなか面白いものです。
現在の猿橋は公共物としての耐久性と安全性のために木材内部を鉄骨とし、両岸石垣内
部をコンクリートとしているようです。