建築の耐用年数

ユーザー ATS造家設計事務所 奥田 敦 の写真

一般に耐用年数が長いといわれる鉄筋コンクリート造で日本最古のものは長崎の軍艦島にあり、1916年竣工です。

鉱員社宅として建てられた築107年の7階建てアパートで、ご存知の通り現在は写真のような廃墟となり崩壊寸前です。

使用する材料や技術の問題、1970年代からメンテナンスをされていないなど、単純に比較はできませんが、これも事実として認識しておくことは大切だと思います。

現代の技術で建築される鉄やコンクリートの建物の耐用年数は、前述の古い建物より長くなっているとは思いますが、結果がわかるのはまだまだ先の話です。

一方、木造はどうかと言いますと、普通の民家でも100年超えのものは数え切れないほど存在します。

構造材は、放っておけばすぐに腐ってしまう「木」ですが、乾燥状態であれば経年劣化は少ないのです。

大断面の木材を使用する寺院建築ならば維持管理も行き届き、さらに寿命が長いことはよく知られていますね。

でも良いことばかりではありません。木の弱点は燃えることです。

ひとたび火事になれば木造の建物は無抵抗です。

さぁ、では建物の構造は何がベストなのでしょうか?

建物が建つ環境や目的、感性そして予算によって建築構造の「最善」は変わりますので、よーく考えて判断してください、というのが結論です。

工法でも素材でも、良いところがあれば必ず弱点があるということをお忘れにならないように。