住宅の設計コンペについて

ユーザー 三浦尚人建築設計工房 三浦尚人 の写真

私自身、最近めっきり見たり聞いたりしなくなった気がしますが、数年前まで建築系のウエブサイトでよく「住宅設計コンペ」をよく見かけました。

いわゆる「住宅設計コンペ」とは、自分の家を建てたい人がサイト内で応募をして、土地や予算、要望等を提示し、この内容に興味や関心を持ち賛同した建築家(設計事務所)がエントリーをしてそれぞれが住宅案を練り、期限までに提出された住宅案の中から最終的に応募した人が気に入った案を決めるというシステムです。

この住宅の設計コンペのシステムは、家を建築家と建てたい人には一見すると良いと思うかも知れませんが、私は全くそう思いません。

何故なら、自分たちの住まいをつくるにはあまりにも安易すぎる手段・方法だからです。
家を建てたい人(応募者)と設計者(エントリー者)とが直接会う機会もなく、本当にどういう家でどういう暮らしがしたいのかもわからず、ただ敷地図と予算、要望等の少ない情報で、しかも短期間で練られた案など無意味だと思います。
短期間とはいえ時間を費やした案を直接応募者へ説明する機会も与えられず、どういう基準で一つの案を選択したのかも明らかにされないケースがほとんどです。

こういうシステムは、建築家にとって何一つメリットがなく、デメリットしかありません。
聞こえはいいですが、設計コンペとは程遠いものです。

したがって、私はこのような住宅の設計コンペには参加も応募もしません。

事実、このような「住宅設計コンペ」がほとんど見かけなくなったことが、結果というか答えを表わしているのではないでしょうか。