建築計画やインテリア計画では、人間の行動の癖とか心理的な距離感を意識して基本的な設計をイメージしています、間取りにも様々な理由があり、デザインや設計時には暮らしの本質を紐解くように。

ユーザー やまぐち建築設計室 山口 哲央 の写真

※テラス化するウッドデッキで繋がる生活空間を提案した

 多世帯生活の家設計デザイン事例(外観イメージCG)

建築計画やインテリア計画では、

人間の行動の癖とか

心理的な距離感を意識して

基本的な設計をイメージしています。

※テラス化するウッドデッキで繋がる生活空間を提案した

 多世帯生活の家設計デザイン事例(外観イメージCG)

居心地に行動特性と

インテリア空間の関わりについて

考える事は本当に大切。

先ずは人の行動特性について。

ポピュレーション・ステレオタイプとは?。

ドアノブを目の前にして、

あなたはどちらへ

回して扉を開けますか?。

インテリア空間のコーディネートや

建築計画を行う上で

意識しておかなければならないことに、

人間の行動の癖(くせ)や

心理的な条件などがあります。

人間の行動に見られる、

ある程度共通した

癖や行動特性のことを

ポピュレーション・ステレオタイプといいます。

例えば右利きの人に見られる

ドアノブは右に回せば開く

という行動特性は

世界的にも共通してみられ、

このような特性は

スピーカーのダイヤルは

右に回せば大きくなる等の

操作機器の設計にも応用されています。

操作機器の

ポピュレーション・ステレオタイプの一例。

「右に回す、押す、上や右にずらす」と

電源オン、増加、加熱、

ネジやボルトなどで締めるという効果がある。

ポピュレーション・ステレオタイプは

地域や民族により違いがあることもあり、

また「右利き」と「左利き」の違いだけでも、

かなり使い勝手が

違ってくることも

理解しておかなければなりません。

デザインが良くて

形が気に入っても、

使う人にとって「使いにくい」モノでは

困ってしまいます。

特に外国製の機器や

設備を選ぶ際には、

よく確認する事が大切。

パーソナルスペース。

アメリカの環境倫理学者の

ロバート・ソマーは、

1969年に出版した著書の中で

他人に侵入されたく無い

空間である「パーソナルスペース」を提案しました。

パーソナルスペースとは、

他人に近付かれると

不快に感じる空間のことで

「パーソナルエリア」、「個体距離」、

「対人距離」とも呼ばれます。

意外かもしれませんが、

一般に女性よりも

男性の方がパーソナルスペースは

広いとされていて、

男性は人が前方にいるのを嫌い、

女性は周囲から

他人に見られるのを嫌う傾向がみられます。

男性のパーソナルスペースは、

前方を集中して見る特性があることから

前方に長い楕円形で、

後ろや横の半径が短い形をしている。

女性は視野が広く全体を

見渡す特性があることから、

前後左右が均等な円形をしている。

また、パーソナルスペースは

親密な相手ほど狭く、

ある程度近付いても不快さを感じない、

逆に面識の無い相手などに対しては

広くなっていて、

社会文化や民族、

個人の性格やその相手によっても

大きな差があります。

この「パーソナルスペース」という言葉は、

たびたび「縄張り、領域」という意味の

「テリトリー」という言葉と

混同されることがありますが、

パーソナルスペースは

中心に居る人間とともに移動するものに対し、

テリトリーは人間が移動しても

その場に存在し続けるものです。

「テリトリー」はもともと動物生態学上の

「縄張り」という意味で

使われていた言葉です。

徐々に日本の漫画やアニメで

「パーソナルスペース」と同じような意味で

頻繁に使われるようになって、

混同されるようになったようです。

人と人との関わり合いの中での距離には、

物理的な距離と

心理的な距離があります。

1966年、

アメリカの文化人類学者

エドワード・ホールは、

人間のコミュニケーションに関わる距離を

以下の4つに分類しました。

密接距離(Intimate):最も親しい関係。

体を密着させたり、

手で触れ合える距離。

個体距離(Personal):親しい友人程度。

相手の表情が詳しくわかる。

社会距離(Social):知らない人同士が会話をしたり、

商談をする場合に用いられる距離。

公衆距離(Public):2者の関係が個人的なものではなく、

講演者と聴衆と言うような場合の距離。

嫌いな相手に対しては、

距離に関わらず

視認できるだけで

不快に感じるケースもある

ソシオペタルとソシオフーガル。

家族で集まったり、

パソコンで仕事をしたり、

カフェで休んだり・・・・・。

人間が集団で行動する場合、

目的に応じて様々な型を形成しますが、

企業オフィスでの机の配置方法は

その好例といえます。

例えば、

常に社員同士のコミュニケーションが図られ、

連絡や相談が

頻繁に行われることによって

社員が活性化するような業務では、

お互いの顔を見ることができる

ソシオペタル型の机の配置が

取られることが多いです。

一方、

設計や製作といった

ある一定の個人での

集中した仕事を

行われるような部署では、

お互いの顔が見えない

ソシオフーガル型の机の配置が見られます。

オフィス以外でも、

向かい合って

コミュニケーションがとりやすい状態の型を

ソシオペタル、

互いに干渉することが無い

状態の型をソシオフーガルと呼びます。

これらの配置は、

イギリスの精神科医である

ハンフリー・オズモンドが

自身の精神病院の

待合室に座っている

患者さんを観察することにより

考案されました。

余談ですがハンフリー・オズモンドは、

合成麻薬とかを使ったら

見えるという幻覚の形容表現の

「サイケデリック」という言葉を作った人物です。

サイケデリックは

音楽ジャンルの一つにもなっていて

「サイケ」っていう略語でも有名です。

人間の行動特性、

パーソナルスペース、

集団の中の配置のかたち、

空間要素には

そういった目に見えない意識の部分も

設計の中に組み込むことが

大切だと考えています。

オフィス設計や工場建築、

勿論商業建築や公共建築・福祉建築にも

そういった考え方は重要ですし

なにより住宅設計については

それぞれの家族の関係性や

暮らし方の価値基準を

大切な要素に含めて間取りと暮らしを

丁寧に考えています。

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