インテリアコーディネート、ダイニングチェアはデザインを「揃えるべき」か「揃えないべき」か?。複数のダイニングチェアを異なるデザインとする事も暮らしやすさや空間設計デザインでの雰囲気のつくり方。
※ダイニングチェアにそれぞれ個別の椅子を提案(ファブリックの色違いと背もたれ付ベンチシート型)
ダイニングチェアは
デザインを「揃えるべき」か「揃えないべき」か?。
複数のダイニングチェアを
異なるデザインとすることも
暮らしやすさや
雰囲気のつくり方の考え方の一つ。
いわゆる「ダイニングセット」という文字を
目にする、
あるいは耳にすると
ひとつのテーブルを複数の
同じデザイン・同じ色の椅子が
囲んでいるものを
想像する人も多いかと思います。
ダイニングテーブルには、
それとデザインやテイストを
揃えた椅子を合わせるのが
一般的なスタイルと言えます。
そして、
その椅子が複数あるのであれば、
そのデザインや色合いは
すべて「揃っている」ものでないといけない、
と考えてはいないでしょうか?。
ダイニングテーブルと椅子、
つまりダイニングチェアを
同じデザインやテイストのもので
セットで揃えると、
まとまりのある印象になり、
それは往々にして
良い印象を与えます。
人は統一感のあるものには
好感を抱くためです。
しかし、
現代のダイニングセット選びは、
あえてダイニングテーブルと
ダイニングチェアの雰囲気を
異なるものにする、
あるいは複数の
ダイニングチェアを
異なるデザインとすることもあります。
それはダイニングテーブルや
ダイニングルームの役割が
以前とは変わってきていることや、
個々に異なって
当然である「座り心地」が
重視されるように
なってきたことにも起因します。
同じダイニングチェアで
揃える考え方が始まった理由とは?。
日本では長い間、
床に座って座卓を囲んで
食事をとるスタイルが主流でした。
しかし、
戦後の住宅改革にともなう
ダイニングキッチンの定着は
特に高度成長期にわたって
爆発的に国内に広がり、
椅子に座ってテーブルで
食事をするスタイルも
決して珍しいものではなくなりました。
それは今まで無かった
生活スタイルの広がりを意味し、
家具業界は
ダイニングテーブルと
ダイニングチェアの生産を
増やすようになります。
そのような流れの中で
求められることは、
生産の効率化でした。
より多くの家庭の需要を満たし、
業績を上げるべく行ったことは
いわゆる「セット売り」であり、
同じものをたくさん生産することです。
そのスタイルでの
販売方法が主流となれば、
今よりも
情報を得る機会の少ない時代の
消費者は
それが当然と思うようになります。
また、
大量生産を行うなかでは
家具は「着色」されることも多くなりました。
特に木製のものは
着色することで
木の木目や色目を整える必要はなく、
大量生産は容易になります。
大量生産と着色を施さないことで
デザインやテイストを
揃えたものを前面に押し出すことは、
いつしかダイニングテーブルと
ダイニングチェアは
揃っていないといけないのでは?
という考え方を定着させました。
ダイニングチェアは
すべて揃いのものでないといけない
というのが定番の
選び方となったのです。
ダイニングチェアにも
自分に合ったものを
求めるようになってきた時代は進み、
最近ではダイニングチェアを揃えない、
もしくは揃っていなくても良い、
という選択をする人も
多くなっています。
「揃えない」「揃えなくても良い」と
考える人が増えてきた最大の要因は、
多くの人が椅子選びの本質を
理解しはじめたからではないでしょうか?。
椅子の本来の役割は
着座することによって
体の負担を減らす道具である、
というものです。
インテリアである以上
デザインや見た目は
非常に重要ですが、
椅子は人が身体を預けて
寛ぐものであり、
その前提はしっかりと
確立されているべきです。
たとえ家族であっても
体型も違えば、
その場所での過ごし方、
過ごす時間などもそれぞれです。
いわゆる「座り癖」というものも
当然そこには存在しています。
僕が受託の設計や間取りに取り掛かる前に
家具ショールームへご案内するのは
そういった分部をどのように
暮らしに反映するべきか?
というところを「体感」し
イメージしていただく為でもあります。
勿論「家具」と「間取り」の
スケールを確認する事も含めて。
話をもとに戻すと、
現代において
ダイニングテーブルは
非常に多用途な家具となっており、
リビングダイニングで過ごす時間も
比較的長時間化しています。
ということは
そこで使用する
ダイニングチェアに座っている時間も
長くなるわけで、
それぞれ自分に合ったものが
欲しくなるのは
当然の流れとも言えます。
その結果として、
ダイニングチェアは
デザインが揃っていなくても構わない、
と考える人が増えてきたのです。
使い勝手を考えて
椅子を変えるという考え方、
そして、
ダイニングチェアを
暮らしの道具として見た場合に、
その使いやすさや
機能性は軽視できません。
例えば、
肘掛けのあるアームチェアは
その場で寛ぐには
非常に有能なものとなります。
一方で立ったり座ったりが
多い場合には、
肘掛けの分だけ
椅子を後方に
出さなくてはいけなくなり、
これが特に慌ただしい朝や
食事の準備で忙しい場合には
ちょっとしたストレスにもなります。
そういったことから
同じテーブルで
キッチンに近い方に
アームの無いアームレスチェアを、
キッチンから遠い方に
寛ぐことのできるアームチェアを置く、
というスタイルを提案する事もあります。
統一感を出すには
雰囲気が揃っていれば大丈夫です。
統一感というのは
空間を演出する上では、
比較的容易に
上級感を演出できるものとしては
おさえておきたい要素です。
ダイニングでこれを行うのであれば、
ダイニングチェアの
デザインを揃える必要こそなくても、
色合いを揃えることで
空間に落ち着きと
統一性が生まれやすくなります。
例えば、
色合いやテイストを揃えておけば、
仮に4つの椅子が
全て異なるものだったとしても
決してちぐはぐな感じにはなりません。
デザインの選択肢と
イメージのつくり方次第で
全体に調和がとりやすくなります。
それさえ守っておけば
ダイニングチェアのデザインが
すべて異なっていても
問題はありません。
やはりある程度
揃っていた方が安心する、
ということであれば
2脚ずつ変える、
などの規則性を持たせると、
座り心地や使い勝手
も満たしたうえで
統一性をより出しやすくなります。
セット販売のものは
量販品になることも多く、
その場合はコスト面を
抑えることもできるでます。
また、
色々と探す手間や
時間を掛けずに済む
というメリットもあります。
しかし、
一方で整ったダイニングセットは
空間を彩るインテリアとしては、
どこか味気なさを
感じてしまうこともあります。
最近、
街中のカフェやインテリアショップなどで、
あえて揃えないチェアの
組み合わせを見かける事も増えました。
インテリアでよく目にするこのスタイルは、
逆にこだわりや洗礼された
印象を与えます。
また、一脚一脚、
気に入ったデザインや
自分に合った座り心地のものを
選べるという
楽しさもあります。
座り心地の良いダイニングチェアは、
その場所での
居心地よさを生み出します。
家族皆が居心地の良い
ダイニングとなるような
椅子選びを行って、
日々の暮らしを
より快適なものにしてみませんか?。
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