美術館みたいな家ってどうつくる?

以前、家づくりの要望として「美術館みたいな家に憧れます」ということを言われたことがありました。
でも。
いざ考えてみると、美術館のような白い大空間をつくるのは現実的ではないし、そもそも人が暮らす場所なので、生活感をゼロにするのも難しいですよね。
では、どうしたら、美術館みたいな“アートが映える家”になるのでしょうか?
1)光と余白を味方につける
美術館が心地よく感じる理由のひとつは、光のコントロールと余白の取り方なんだと思います。
自然光がやわらかく差し込む窓、そしてモノが詰め込まれていない空間の余白。
家で取り入れるなら。
窓からの光が直接当たりすぎない壁面を見つけるとか、
壁に色をつけるなら、落ち着いたトーンにするとか、
棚や壁の一部を「何も置かない余白」として意識するとか。
これだけでも、飾ったアートが自然と主役になりますよね。
2)家具とアートを喧嘩させない
美術館は作品を引き立てるために、空間内にモノは控えめですよね。
家でも同じように、家具とアートのトーンを合わせるといいです。
たとえば。
カラフルなソファのある部屋に、さらに派手な抽象画を飾ると視線が散らかりますよね。
逆に、シンプルな家具に鮮やかな一枚を飾ると、絵の存在感が際立ちます。
建築とインテリアを整えることは、アートが生きる舞台づくりでもあるといえます。
3)日常を排除せずに、風景として取り込む
美術館は生活感がありませんが、家には日常の暮らしがあります。
無理に生活感を消そうとすると寛げなくなってしまい、家が息苦しい場所になりかねません。
大切なのは、生活感とアートを対立させないこと。
たとえば、ダイニングの一角に小さな絵を置けば、食事の風景の一部になります。
ソファ横に立て掛けた一枚は、読書やくつろぎの時間をそっと彩ります。
美術館のような非日常をまるごと真似るのではなく、日常にアートを溶け込ませて自分だけの美術館をつくる。
それが、暮らしに寄り添うアートのある家のカタチなんだと思います。
美術館のような家だからって、広く豪華にする必要ってないと思います。
光と余白、家具とのバランス、そして日常を受け入れるゆとり。
その3つの工夫があれば、自然とアートが引き立つ、美術館のような家になるんだと思います。
そういう暮らし。素敵じゃないですか?