車椅子で暮らすときに、毎日困る小さなこと5選

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今日は車椅子と家についてのお話です。

家の中で車椅子を使って暮らすとき、一番の悩みは「大きな不便」よりも、実は小さなストレスの積み重ねにあるんじゃないかと思うんです。

私自身、過去に車椅子の方の介助をしたことがありますが、ほんの数センチの段差や扉の重さ、ちょっとした物の位置が、毎日の生活を大きく左右することを実感しました。

今日は、そんな日常の小さな困りごと5つをご紹介します。

これらは設計段階で意識しておくと、暮らしの快適さが驚くほど変わるポイントでもあります。

1. たった3cmの段差でも動けない
玄関や勝手口、リビングから庭に出るサッシ。
健常者にとっては気にならない段差でも、車椅子にとっては完全なストッパーになります。

外に出ることが億劫になれば、暮らしは閉じこもりがちに。。

大きな段差なら、介助が必要ってわかるのですが、少ない段差だと、より一層困ることになるんですよね。

2. ドアの開閉が想像以上に大変
想像していただくとわかるかもしれませんが、車椅子で開きドアを開けるには、片手でブレーキをかけ、もう片手でドアを引く必要がありますよね。

これが毎日何度も繰り返されると、かなりの負担。

引き戸や軽いドア、オートクローザーの工夫があるだけで、暮らしは大きく変わります。

3. 物の位置が少し高いだけで使えない
食器棚やスイッチ、洗濯機の操作パネルなど、10cmの高さの違いが「届く/届かない」を分けます。

車椅子生活では、日常動作のすべてが座った目線。

設計時には必ず座った視線で確認することが大切です。

4. 曲がり角で立ち往生する
廊下やリビングの角、家具の配置。
90度の曲がり角で回転できるかどうかが、移動のストレスを決めます。

わずかに家具を動かすだけで解決することも多いのですが、設計段階で回転半径を意識した動線計画が理想です。

5. 家事や趣味が制限される
料理がしたいのに、キッチンの奥まで届かない。
庭に出て植物を触りたいのに、段差が怖い。

「やりたいこと」ができない生活は、想像以上に精神的な負担になります。

だからこそ、趣味や家事のしやすさまで含めた設計が、その人らしい暮らしを取り戻す鍵になります。

小さな不便をなくすことが、暮らしの自由をつくる
車椅子の生活において、暮らしの質を決めるのは「段差ゼロ」のような大きな要素だけではないと思います。

毎日の小さな不便を一つずつ解消することで、家は「制約の場所」から「自由の場所」に変わります。

私は設計の際、必ず車椅子利用者の生活動線をシミュレーションします。
介助の有無や使う範囲まで丁寧にヒアリングし、その方にとって最適な家を一緒に作ることが、私の役目だと思っています。

もし今の暮らしに小さなストレスを感じているなら、それは「家を変えるタイミング」のサインかもしれませんね。

家のことを考えてみようかなと思ったかたが、こちらからお気軽にご相談ください。もちろん相談は無料ですから。

車椅子と暮らす家づくり
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