玄関=その家の顔:印象を変えるアート活用術

ユーザー ナイトウタカシ建築設計事務所 ナイトウタカシ の写真

「はじめまして」の場である玄関。
そこは、お客さまが最初に足を踏み入れ、家族が毎日出入りする大切な場所です。

まるで本に表紙があるように、玄関はその家の“表紙”だと私は思います。

表紙が魅力的だと、その先を読んでみたくなるものですよね。

玄関も同じで、心地よい印象がそこに漂っていると、家全体に対する期待感が高まります。

その印象を大きく左右するのが、実は「アート」なのです。

1. 第一印象を決める「一枚の絵」
玄関に飾るアートは、訪れた人にとって最初に触れる“メッセージ”です。
大きな絵を一枚だけ飾ると、それだけで空間の印象がぐっと引き締まります。

抽象画なら「この家はモダンで洗練されている」

花や植物の絵なら「やわらかく温かい家庭」

写真作品なら「暮らしを楽しむ姿勢がある」

作品が語りかけるニュアンスが、そのまま家の雰囲気につながるのです。

2. 季節を映す小さなアート
玄関はスペースが限られる分、季節感を意識したアートを置くのも効果的です。

春には桜のモチーフ、夏には青を基調とした写真、秋には紅葉や落ち葉、冬には雪を連想させる抽象画…。

小さな作品でも構いません。

季節ごとにさりげなく入れ替えることで、訪れる人は「この家は大切に整えられている」と感じます。

3. 家族の物語を伝えるアート
玄関は、家族の“顔”でもあります。
そこに家族の歴史や想いを映すアートを置くのも素敵です。

子どもの描いた絵を額装して飾る

旅行で出会った小さな工芸品を棚に並べる

家族写真をモノクロにプリントして壁にかける

こうした“物語を持つアート”は、訪れた人に「この家らしさ」を自然に伝えてくれます。

4. 光と組み合わせて演出する
玄関は窓が小さく、暗くなりがちな場所です。
だからこそ、アートを照らすピクチャーライトや、間接照明を組み合わせると効果は抜群です。

照明によって作品が浮かび上がり、空間全体に温もりや奥行きが生まれます。
「ただ飾る」のではなく、「光で演出する」ことで、表紙としての魅力は格段にアップします。

5. 香りや小物と組み合わせて“表紙感”を高める
アート単体でも十分ですが、香りや小物と組み合わせると、玄関全体が一つの世界観になります。

お気に入りのフラワーベースに季節の枝物を生ける。
小さなオブジェやキャンドルを添える。

そうすることで、アートが単なる飾りではなく、“暮らしの演出”として立ち上がります。

まとめ
玄関は家の顔です。

そこに飾るアートは、単なる装飾ではなく「この家はどんな物語を持っているのか」を伝える役割を担っています。

大げさに考える必要はありません。
小さな絵や写真、思い出の品でも十分です。

大切なのは、それを選んだ理由や想いがあること。

「この一枚を選んだのは、こんな気持ちからなんです」と語れるアートこそ、玄関を心地よく彩り、訪れる人に良い印象を残します。

表紙に込めたその小さな工夫が、きっと毎日の暮らしを豊かにしてくれるはずです。