額装が9割?アートを美しく見せるためのコツ

ユーザー ナイトウタカシ建築設計事務所 ナイトウタカシ の写真

「いい作品を買ったのに、部屋に飾ってみたらイメージが違った」
そんな経験をされた方はいませんか?

実はその原因の多くは、“額装”にあります。
アートは作品そのものだけでなく、どう見せるかによって印象が大きく変わるもの。
「額装が9割」といわれるほど、額やフレーミングは作品の見え方を左右します。

では、暮らしの中でアートを美しく見せるために、どんな工夫ができるのでしょうか。

1. 額縁は「作品」と「空間」の橋渡し
額縁は、単なる飾り枠ではありません。
作品と空間をつなぐ“通訳”のような役割を持ちます。

モダンな空間なら、細身の黒や白のフレーム

ナチュラルな空間なら、木目のフレーム

クラシックな雰囲気なら、装飾のあるフレーム

作品の色調だけでなく、家全体のテイストに合わせて額を選ぶことで、違和感なく馴染みます。

2. マットの使い方で余白を演出する
作品とガラスの間に挟むマット(台紙)も重要です。
マットがあることで、作品の周りに“呼吸する余白”が生まれ、アートが際立ちます。

小さな作品でも、大きめのマットを合わせれば、存在感がぐっと増します。
白やアイボリーのマットは万能ですが、あえて濃い色を選ぶと作品の色が引き立ち、印象的になります。

3. ガラスにもこだわる
意外と見落とされがちなのが、額のガラス。
普通のガラスは反射で作品が見えにくくなることがあります。

美術館でも使われる反射防止ガラスを選ぶと、アートの色や質感がクリアに見え、印象が格段に良くなります。

少し価格は上がりますが、長く飾る作品なら検討する価値は十分にあります。

4. 飾る位置と高さを整える
額装が整っていても、飾る位置がバラバラだと台無しです。
基本は目線の高さ(床から140〜150cmあたり)に中心が来るように配置すること。
複数並べる場合は、額の下辺や上辺を揃えると、空間全体が落ち着いて見えます。

5. 額装も“暮らしと一緒に変化”させる
額装は一度決めたら終わりではありません。
季節に合わせてマットの色を変える、額を掛け替える、立て掛けてみる…。
暮らしと同じように変化させることで、アートも空間も生き生きと育っていきます。

まとめ
アートは作品そのもの以上に、額装や見せ方で魅力が何倍にも膨らむものです。
額縁、マット、ガラス、配置。
この4つの要素を意識するだけで、同じ作品でもまるで違う表情を見せてくれます。

「額装が9割」という言葉は決して大げさではありません。
むしろ、その工夫こそが、あなたの家に飾られたアートを“暮らしの主役”に変えてくれるのです。

参考にしていただけたら幸いです。