フラット35利用者調査から

フラット35利用者調査から
住宅ローン商品の「フラット35」をご存知でしょうか。
フラット35は住宅金融支援機構が全国の金融機関を通して提供する、全期間固定型の住宅ローンです。
最大の特徴は、変動型と違って完済まで返済額が変わらないこと。
今回はその利用者調査データからは、2024年にフラット35で家づくりを実現した世帯の、等身大の実像が見えます。

実は固定タイプの金利が上昇したこの数年、フラット35の利用者は急減しました(グラフ1)。
とはいえ金融機関の数字を反映する利用者調査は、信頼度抜群。
早速、利用者のプロフィールから見ていきましょう。
取得住宅の種類は、新築では「(土地購入を含まない)注文住宅」「土地付き注文住宅(売り建て)」「分譲住宅(建て売り)」「分譲マンション」。
中古物件は「戸建」と「マンション」です。

世帯主の年齢は、「土地付き注文住宅(売り建て)」と「分譲戸建(建て売り)」が41歳台で、最も若い世代です(グラフ2)。
「売り建て」と「建て売り」、名前も似てますが購入層も近いようです。
それ以外は新築も中古物件も、世帯主の年齢は45歳以上50歳未満で、比較的年齢層が高い印象です。
年齢と住宅取得の関係は、建売等の商品化住宅は40歳前後、中古物件は45歳前後、分譲マンションや注文住宅などの高額物件は50歳目前と、40歳代の10年は住宅取得の動きが活発化する年齢、と言えそうです。
老婆心ながら、49歳からだと20年ローンでも定年後も返済が続くのではないか・・・、と気にかかったりしますが。

世帯主の職業に固定型の特徴が?
世帯主の職業は住宅の種類を問わず、会社員や公務員のいわゆる勤め人が半数を占めます(グラフ3)。
目を引くのは自営業の多さで、住宅の種類を問わず概ね30%前後、分譲マンション取得世帯では40%を自営業が占めます。
国土交通省「住宅市場動向調査」では自営業の割合は6~15%程度なので、自営業者の多さはフラット35利用者の特徴と言えそうです。

全期間固定金利のフラット35の利用者に小規模事業の自営業者が多いのは、事業経験による金利上昇への警戒感があるのでしょうか。
時に、貸し出し金利が上昇する速さは、想像を絶するものがあります。
新型コロナウィルス蔓延の影響で物価が乱高下した際は、欧米の中央銀行の政策金利は1年半ほどの間に5%前後変動しました。
政策金利の上昇が直ちに返済額の急増になるわけではありませんが、返済期間が長期化するなどの影響は考えられます。
日常的に返済金利と向き合う自営業者世帯が全期間固定のフラット35を選択するのは、理解しやすところです。
グラフ:「2024年フラット35利用者調査」から作成

このコラムは、注文住宅を計画する方の参考になることを目的に、アーキシップス京都の経験に基づいて書き下ろします。
トピックス、技術、経験の内容は、主観に基づくことをご了承ください。