結露がアレルギーを悪化させるお話

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冬になると、窓辺にびっしりと水滴がついているのを見たことはありませんか?
そう。「結露」ですね。

単に見た目が不快なだけでなく、実はアレルギー症状を悪化させる大きな要因になることをご存じでしょうか。

結露はなぜ発生するのか
結露は、室内の暖かく湿った空気が冷たい窓や壁に触れることで発生します。
空気中に含まれる水蒸気は、温度が下がると水滴に変わります。
冬の朝、窓がびっしょり濡れているのはそのためです。

つまり「室内外の温度差」と「湿度」が結露を招く条件です。

結露がアレルギーを悪化させるメカニズム
結露そのものはただの水分ですが、放置することで住まいにさまざまな影響を与えます。

① カビの繁殖
水滴がついたままの窓枠や壁紙は、カビにとって絶好の繁殖環境です。
カビの胞子は空気中に飛び散り、吸い込むことで喘息やアレルギー性鼻炎を引き起こすリスクがあります。

② ダニの増加
カビが増えると、それを餌にするダニも増えます。
ダニの死骸やフンは代表的なアレルゲンで、子どものアトピーや大人の気管支炎の原因になることもあります。

③ 建材の劣化 → 隠れたカビ
壁や床の中に結露が入り込むと、見えないところでカビが繁殖します。
目に見えない分、気づかずに長期間吸い込み続けてしまい、アレルギー症状が慢性化することも。

結露を防ぐ住まいの工夫
アレルギーを悪化させないためには、結露を発生させない工夫が大切です。

1. 換気をしっかり行う
湿気を室内にこもらせないことが基本。24時間換気システムや、サーキュレーターで空気を動かすことが有効です。

2. 室内の加湿をしすぎない
冬は乾燥が気になりますが、加湿器の使いすぎは結露の原因に。
湿度は 40〜60% を目安に調整しましょう。

3. 断熱性能を高める
窓や壁の断熱性が低いと、外気との温度差で結露が発生しやすくなります。
樹脂サッシや二重窓、断熱リフォームは効果的な対策です。

4. 吸放湿性のある自然素材を使う
漆喰や珪藻土、無垢材は、余分な湿気を吸収・放出してくれる調湿効果を持っています。

まとめ
結露は単なる「水滴」ではなく、カビやダニを生み出し、アレルギーを悪化させる隠れた原因です。
特に子どもや高齢者など、免疫が弱い人にとっては大きなリスクになります。

家の性能や素材選び、そして日々の換気や湿度管理で、結露は防ぐことができます。
「結露しにくい家=健康を守る家」。
見えない空気の質を整えることこそ、家族の健やかな暮らしを守る第一歩なのです。