室内のPM2.5を減らす設計の工夫

ユーザー ナイトウタカシ建築設計事務所 ナイトウタカシ の写真

「PM2.5」。
近年では春先や冬の季節になると、大気汚染情報に“注意喚起”が出ることもありますよね。
でも実は、PM2.5の問題は外だけでなく「家の中」にも潜んでいるのです。

PM2.5とは?
PM2.5とは、直径2.5マイクロメートル以下の微小な粒子状物質のこと。
花粉の約30分の1ほどの大きさで、目に見えないほど微細です。

この粒子は肺の奥まで入り込みやすく、長期的に吸い込むと、ぜんそくやアレルギー、呼吸器疾患の悪化などを引き起こすリスクがあります。
特に小さな子どもや高齢者、アレルギー体質の方にとって、注意が必要です。

室内のPM2.5はどこから来るのか?
意外かもしれませんが、PM2.5の侵入経路は「窓」だけではありません。

換気扇や給気口

玄関ドアのすき間

外出時に衣服や髪に付着して持ち込まれる

また、室内で発生するものもあります。
調理時の油煙、タバコ、ストーブ、掃除機の排気などもPM2.5の原因になります。

つまり、「外から入れない」「中で出さない」「中に残さない」──
この3つの視点で考えることが大切です。

家づくりでできるPM2.5対策
① 高性能フィルター付き換気システム
家づくりの段階で、PM2.5を通しにくいフィルターを備えた換気システムを選ぶことが効果的です。
HEPAフィルターや微粒子除去フィルターを使うことで、外気の汚染物質を大幅にカットできます。

また、給気と排気のバランスをとる第一種換気システムを採用すれば、外気を取り込みながらもフィルターで清浄化できるため、効率的です。

② 窓と建具の気密性を高める
サッシのすき間やドアの開口部は、微細な粒子が侵入しやすいポイント。

樹脂サッシや二重窓で気密性を上げる

パッキンやシーリングを見直す
これだけでも外気中のPM2.5の侵入量を大幅に減らせます。

③ 室内の発生源を減らす
揚げ物や焼き物の調理時は必ずレンジフードを使用

ストーブや喫煙など“燃焼系”の行為はできるだけ避ける

掃除機は排気性能の高いものを選び、ゆっくり動かす

特に調理中の油煙は想像以上に粒子が細かく、PM2.5の主要原因になります。

④ 室内空気の流れを設計する
空気がよどむと、粒子が床や家具に付着しやすくなります。
設計段階で、風の通り道や空気の循環経路を意識しましょう。
天井ファンやサーキュレーターの設置、家具の配置を工夫するだけでも違いが出ます。

まとめ
PM2.5は目に見えないからこそ、家づくりで“先回り”することが大切です。

フィルターで入れない

発生源を減らす

換気と空気の流れを設計する

この3つの工夫で、家の中の空気は格段にきれいになります。

住まいは、家族が一日の大半を過ごす場所。
だからこそ、デザインや性能と同じように「空気の質」を整えることが、
健康で快適な暮らしへの第一歩なのです。