二世帯住宅の光熱費は高い?安くする方法とは?

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二世帯住宅を検討するご家族から、よく聞かれる質問があります。
「二世帯住宅って、光熱費が高くなるんですか?」

答えは一言で言えば「設計次第」です。
同じ二世帯住宅でも、暮らし方と設計の工夫によって、光熱費の差は月に数千円〜1万円以上になることもあります。

では、どんな工夫をすれば快適さを保ちながら光熱費を抑えられるのでしょうか?

1. 二世帯住宅の光熱費が高くなりやすい理由
一般的に、二世帯住宅の光熱費が上がる理由は3つあります。

① 世帯が増える=稼働時間が長くなる
親世帯が在宅時間が長く、子世帯は夜に活動するため、照明・冷暖房・給湯などの使用時間が単世帯より長くなります。

② 水回り・キッチンが増える
完全分離型の場合、キッチンや浴室が2つになるため、電気・ガス・水道の消費量が増えます。

③ 電気契約が世帯別で割高になることも
二つの世帯で別々に電気契約をすると、基本料金が2倍になります。これは意外と見落としがちなポイントです。

こうした条件が重なると、「思ったより光熱費がかかる…」と感じることになります。

2. 光熱費を安くする設計のコツ
では、設計の段階でできる工夫は何でしょうか?

● 断熱性能を高める
もっとも効果的なのは、家全体の断熱性能を上げることです。
壁・窓・天井の断熱をしっかり行うだけで、冷暖房費は年間で1〜2割ほど削減できます。
特に窓は熱損失が大きいため、トリプルガラスや樹脂サッシを採用すると効果的です。

● 暖房・給湯を共有する
同居型や一部共有型なら、給湯設備や暖房設備を共用化する方法も有効です。
給湯器を2台設けるよりも高効率給湯器1台を共有した方が、ランニングコストは下がります。

● 太陽光発電を活用する
二世帯住宅は屋根面積が広くなりやすいため、太陽光パネルの設置効果が大きいのが特徴です。
発電した電力を自家消費すれば、電気料金をさらに削減できます。

● 生活リズムに合わせたゾーニング
親世帯と子世帯で活動時間が異なるなら、冷暖房エリアを分けて制御できるようにしておくとムダがありません。
それぞれの生活リズムに合わせてエネルギーを使える間取りにすることがポイントです。

3. 日常生活でできる節約の工夫
建てたあとも、ちょっとした意識で光熱費を抑えることができます。

共用スペースはLED照明+人感センサーで自動消灯

給湯温度を1〜2度下げる

冷蔵庫やエアコンの位置を日射の影響を受けにくい場所に配置

家族全員で「使わない時間帯」を決めて電気をOFF

こうした積み重ねが、年間では大きな違いを生みます。

4. 家計にも環境にもやさしい二世帯住宅へ
二世帯住宅の光熱費は、工夫次第でむしろ一世帯住宅より効率的に抑えることが可能です。
断熱・設備・暮らし方のバランスを取れば、「広いのに光熱費が安い家」も実現できます。

設計の段階で「親世帯と子世帯の光熱費をどう共有するか」を決めておくことが、快適で経済的な暮らしへの第一歩です。

まとめ
光熱費は設計と暮らし方で変わる

断熱・共有設備・太陽光でコストを抑える

活動時間の違いを間取りで吸収する

家族が増える分、エネルギーも増えるのは当然。
でも、“家の設計力”が光熱費を味方にするのです。

二世帯住宅は広くても、賢く設計すれば家計にも環境にもやさしい家になります。