【自宅サウナ】家族に喜ばれる『共有型サウナスペース』の作り方

ユーザー ナイトウタカシ建築設計事務所 ナイトウタカシ の写真

「サウナ=一人の時間」
そんなイメージを持つ人も多いかもしれません。

確かに、自分のためだけの静かな時間は格別です。
けれども最近は、自宅サウナを**家族と共有して楽しむ“共用型サウナ”**として設けるケースが増えています。

サウナがあることで、家族が自然と集まる。
そんな“小さな団らんの場”をデザインすることができるのです。

■1. 家族で使うなら「温度設定」が鍵
家族それぞれ、サウナに求める温度は違います。
本格派のご主人は100℃近い熱めが好みでも、奥さまやお子さんには少し厳しい温度です。

共有型サウナでは、**家族全員が気持ちよく過ごせる温度帯(70〜80℃前後)**が理想。時間を長めに取ることで、じんわり汗をかける「ぬる熱サウナ」にするのがポイントです。

また、可変式のベンチを設けて上下で温度差をつけると、家族それぞれが心地よいポジションを選べるようになります。

空間を共有しながらも、体感を調整できる設計は満足度を大きく高めてくれます。

■2. 家族が集まる“会話が生まれる空間”に
一人で黙々と入るサウナもいいけれど、家族サウナの醍醐味は、日常ではなかなかできない会話が生まれること。

携帯電話もテレビもない、ただ温かい木の空間。
お互いの顔を見ながら、何気ない話をする。
それだけで、不思議と距離が近づくのがサウナの魅力です。

そのためには、座面を対面式にしたり、間接照明で穏やかな光をつくったりと、
“語りたくなる雰囲気”をデザインすることが大切です。

サウナ室の中に家族の時間が流れ始めると、
そこは単なる設備ではなく“居場所”になります。

■3. 動線設計で“家族みんなが使いやすく”
共有型サウナを快適にするためには、生活動線との一体化も欠かせません。

たとえば、浴室と脱衣室の間にサウナを挟むように配置すれば、入浴や洗濯などの動線と自然に重なり、日常使いしやすくなります。

逆に、アクセスしづらい場所に設けると「使いたいけど面倒」という理由で徐々に使われなくなってしまうことも。

さらに、外気浴スペースや家族で座れるデッキを近くに設けておくと、サウナ後もゆったりと時間を共有できます。

風を感じながらジュースを飲んだり、夜空を見上げたり。
“ととのい時間”がそのまま“家族時間”になる設計が理想です。

■4. 共有のサウナは“思い出の装置”になる
一人の趣味として始めたサウナが、いつのまにか家族みんなの習慣になっていく。

「サウナに入るとき、子どもが自然と隣に座ってくる」
「夫婦での会話が増えた」
「祖父母も一緒に温まる時間ができた」

サウナは、世代や立場を超えて心をゆるめてくれる空間です。

家族全員が“使いたくなる”設計を意識すれば、それはもう贅沢な趣味ではなく、家族の記憶を育てる場所になります。

サウナをつくることは、家族の関係をデザインすること。

誰かのための空間ではなく、みんなの居場所にする。
その先に、毎日が少しあたたかくなる「共有型サウナライフ」が待っています。