情報は増えているのに、決断できなくなる理由
家づくりを考え始めると、
本や雑誌、インターネット、SNS…
気づけば、たくさんの情報に囲まれるようになります。
性能の比較記事や、後悔しないためのチェックリスト。
体験談や、成功事例。
どれも「役に立ちそう」だと思えるものばかりで。
それなのに、
なぜか――
読み進めるほど
「決められなくなっていく」
そんな相談を、これまで何度も受けてきました。
情報が増えると、本来は安心できてもよさそうなのに、
少しずつ、不安だけが膨らんでいく。
それはきっと、
情報が「選択肢」を増やす一方で、
同時に「間違えたくない気持ち」も強くしてしまうから
なのだと思います。
ある選択肢を選ぶということは、
他のいくつかを手放す、ということでもあります。
情報が少ないときは、
そのことを、あまり意識せずに済みます。
けれど
知れば知るほど、
「これも良さそうだし」
「こっちも気になる」
「本当にこれでいいのかな」
――そうやって、選べなくなる。
そしてもう一つ、大きな理由があります。
たくさんの情報は
「一般的に良いと言われている基準」を
静かに心の中へ持ち込んでしまいます。
すると、
「自分たちに合っているかどうか」よりも
「間違っていないかどうか」が
判断の中心になってしまうのです。
家づくりは、本来とても個人的で、
暮らし方や価値観によって
答えが変わるもののはずなのに、
気づけば、
「正解かどうか」を探す作業に
すり替わってしまう。
もし今、
情報が増えるほど苦しくなっているとしたら、
それは
「迷っているから」ではなく、
それだけ
家づくりに真剣で、丁寧だから。
私は、そう受け取っています。
どれが正しいか、よりも
「どの選択に、気持ちが落ち着くか」。
少しずつ、そこへ戻っていけると
決断は、ほんの少し、やわらかくなります。
あなたは今、
どの情報に、いちばん影響を受けていますか。