迷っている時間が、あとで効いてくることもある
家づくりの相談を受けていると、
「なかなか決められなくて、進められていないんです」
そんな言葉を
ときどき耳にします。
周りの人は
どんどん土地を探して
間取りの話をして
もう工事が始まりそうな人もいる。
その様子を見ていると
「自分たちは出遅れているんじゃないか」
そんな不安が
ふっと胸に浮かんでしまう。
でも–––
迷っている時間って
本当に「遅れ」なんでしょうか。
ぼくは、そうは思っていません。
迷っているということは
まだ
「ちゃんと考えようとしている途中」
ということでもあります。
すぐに決めることが
悪いわけではありませんが
「なんとなく決まってしまった家」と
「たくさん迷って
やっと選び抜いた家」とでは
住み始めてからの
“納得の深さ”が
少し違ってくるように感じています。
迷っているときって
頭の中で
いろんな可能性を並べてみたり
「これで本当にいいのかな」と
自分に問いかけてみたり
意外と
たくさんの作業をしています。
外から見ると
止まっているように見える時間でも
内側ではゆっくりと
大事なところが整理されていることがあるんですね。
そして、不思議なことに
その「迷った時間」が
あとになって
効いてくる場面を
何度も見てきました。
少し時間をかけて考えたことで
ぶれにくい判断軸ができていたり
家族の中で
気持ちの共有が進んでいたり
将来のことを
自然と想像できていたり。
「あのとき迷ってよかったですね」
そう言葉にできるのは
家ができてから
しばらく経ってからのことです。
もちろん
長く迷えばよい、という話ではありません。
でも「決められない自分」に
焦りを感じたときは
それは“立ち止まるべきところで
立ち止まれているだけ”
なのかもしれません。
迷っていた時間も
家づくりの一部。
そう思えると少しだけ
呼吸が楽になることがあります。
いま考えていることも
迷っていることも
きっとどこかで
静かにつながっていくはずです。