土地はスペックだけじゃ決められない

ユーザー ナイトウタカシ建築設計事務所 ナイトウタカシ の写真

不動産会社さんの資料には、たくさんの情報が並びます。

面積
価格
接道
用途地域
建ぺい率・容積率
方角

数字や条件が、きれいに整理されています。

それらは、たしかに大切です。
家づくりにおいて、無視できない条件でもあります。

ただ、
土地というのは、それだけでは決められないものだな…と
いつも感じています。

 

初めてその土地に立ったとき、
数字では分からなかったことが、たくさん目に入ってきます。

道路を走る車の音。

隣家の窓の位置。

風の通り方。

近くを歩く人の気配。

少し離れたところから聞こえてくる生活音。

そして、
その場所に「どんな時間が流れているか」。

 

同じ広さでも、
同じ価格帯でも、

「ここで暮らす感じ」が、まったく違うことがあります。

それは、
資料には書かれていないことばかりです。

 

土地を見に行ったお施主さんが、

「条件は良いんだけど、なんとなく落ち着かないんです」

とおっしゃることがあります。

理由を説明しようとしても、
言葉にならない。

でも、その“なんとなく”には、
ちゃんと意味があることが多いんです。

 

日当たりがいいはずなのに、
まぶしすぎて落ち着かない。

静かなはずなのに、
音が跳ね返ってくる感じがする。

広いはずなのに、
なぜか圧迫感がある。

 

スペックでは「良い土地」。

でも、
暮らす場所として「しっくりくるか」は、別の話。

 

設計者として土地を見るとき、
私は条件よりも先に、

「ここで暮らす人の呼吸が、どうなるか」

を感じ取ろうとしています。

 

数字や条件は、あとから確認できます。

でも、
感覚でしか分からないことは、

その場でしか、感じ取れません。

 

だから、もし土地を見に行くときは、

「良い条件かどうか」

よりも、

「ここに立ってみて、どう感じるか」

を、少しだけ意識してみてください。

 

理由が説明できなくても、大丈夫です。

言葉にならない違和感も、
静かな安心感も、

家づくりにおいては
とても大切な“判断の材料”なのだと思っています。