全てを取り込まない、という贅沢
投稿日時:
2026-02-13 08:17
家づくりを考えていると、
「せっかくなら、できるだけ多く取り込みたい」
そう思うことがあります。
光も、
風も、
景色も、
周囲の環境も。
外にある良さを、
なるべく家の中に
引き入れたい。
その気持ちは、
とても自然なものだと思います。
ただ、
設計を重ねていく中で、
ひとつ気づくことがあります。
すべてを取り込もうとすると、
同時に
すべてを受け止め続ける
暮らしになる、ということです。
強い光。
予想以上の暑さ。
通り過ぎる人の視線。
遠くの音。
外の要素は、
良いものだけを
選んでくれるわけではありません。
だからこそ、
どこまでを受け入れ、
どこからを手放すのか。
その線を引くことが、
とても大切になります。
全てを取り込まない、
という選択は、
不足でも、
消極的でもありません。
むしろ、
何を大切にしたいかが
はっきりしているからこそ
できる選択です。
たとえば、
大きな景色が見える場所でも、
あえて
すべてを見せない。
光が十分にある場所でも、
少し和らげて
取り込む。
外と距離を取りながら
付き合うことで、
家の中に
静けさや
落ち着きが生まれます。
設計とは、
足し算だけで
成り立つものではありません。
引き算や、
間引きや、
選び直しの連続です。
その中で、
「これは入れない」
「ここまでは求めない」
そう決めた部分が、
結果として
暮らしを支えてくれることも
少なくありません。
全てを取り込まない、
という贅沢。
それは、
環境を拒むことではなく、
自分たちの暮らしに
ちょうどいい距離感を
つくることなのだと
感じています。
家は、
外のすべてを
抱え込む場所ではなく、
安心して
身を置ける場所で
あってほしい。
そのために、
あえて
取り込まない選択をする。
それもまた、
とても豊かな
家づくりの考え方のひとつだと
思っています。