土地と暮らしのちょうどいい距離感
投稿日時:
2026-02-16 08:52
土地を見るとき、
「この土地をどう活かすか」
という言葉をよく耳にします。
土地の特徴を読み取り、
その良さを最大限に引き出す。
それは、とても前向きで、
大切な考え方です。
ただ一方で、
設計を続けていると、
別の問いが浮かんでくることがあります。
「この土地と、
どれくらい近づくのが
ちょうどいいのだろう」
土地に寄り添いすぎると、
暮らしが
土地に引っ張られてしまうことがあります。
逆に、
土地から距離を取りすぎると、
その場所に
うまく馴染めない家になることもあります。
土地と暮らしの関係は、
近すぎても、
遠すぎても、
落ち着きません。
たとえば、
土地の形や高低差を
すべて受け止めた結果、
動線が複雑になったり。
周囲の環境を
すべて遮断しようとして、
閉じすぎた家になってしまったり。
どちらも、
「土地を意識しすぎた」
結果かもしれません。
設計では、
土地の条件を
尊重しながらも、
すべてを
そのまま受け入れるわけではありません。
どこは受け止め、
どこは距離を取るか。
その判断の積み重ねが、
暮らしの心地よさを
形づくっていきます。
土地は、
主役ではありません。
同時に、
背景だけでもありません。
暮らしのすぐそばにありながら、
少し引いた位置で
支えてくれる存在。
そのくらいの距離感が、
長く暮らす上では
ちょうどいいように感じています。
土地と
無理に一体化しようとしない。
でも、
完全に切り離してしまわない。
その間にある
微妙な距離感を
探っていくことが、
設計の中で
とても大切な作業だと
思っています。
その土地で
自然に呼吸できるかどうか。
土地と暮らしの
ちょうどいい距離感は、
図面の上ではなく、
現地で感じる
身体の感覚の中に、
そっと表れてくるものなのかもしれません。