いま良くても、数年後に変わるかもしれない環境
土地や周辺環境を見ていると、
「いまは、とても良いですね」
そう感じる瞬間があります。
静かで、
日当たりもよく、
周囲の建物も低い。
暮らしを想像すると、
不安よりも
期待の方が
大きく膨らみます。
でも、
少しだけ時間を
先に進めてみると、
「この環境は、
数年後も
同じだろうか」
そんな問いが
浮かんでくることがあります。
街は、
ゆっくりと
姿を変えていきます。
隣の敷地が
売りに出されるかもしれない。
空き地に
新しい建物が
建つかもしれない。
道路の使われ方や、
人の流れが
変わることもあります。
それらは、
いまの時点では
はっきりとは
分かりません。
だからこそ、
「いま良い」という評価だけで
判断してしまうと、
あとから
気持ちが追いつかなくなることも
あります。
設計をする立場として、
私が大切にしているのは、
「環境が変わったとき、
この家は
どう感じられるだろう」
という視点です。
静かだった場所が、
少しにぎやかになったとき。
開けていた方向に、
建物が建ったとき。
それでも、
暮らしの中心が
揺らがないかどうか。
すべての変化を
予測することは
できません。
でも、
変化が起きる前提で
考えておくことは
できます。
外の環境に
頼りすぎない。
内側に
落ち着ける場所を
しっかり残しておく。
そうした考え方は、
時間が経つほど
効いてきます。
いまの環境が
気に入っているからこそ、
その環境が
変わったときのことも
少しだけ想像してみる。
それは、
不安を増やすためではなく、
暮らしを
長く守るための
準備だと思っています。
家は、
ある瞬間の
環境の中で
完成するものではありません。
変わっていく時間と
一緒に
使われ続けていくものです。
いま良いと感じる環境が、
数年後に変わったとしても、
それでも
自分たちらしく
過ごせそうか。
その問いを
そっと添えておくことが、
土地を選ぶときの
ひとつの支えになるように
感じています。