変わる前提で、どう設計を残すか

ユーザー ナイトウタカシ建築設計事務所 ナイトウタカシ の写真

家づくりの話をしていると、
つい「完成した姿」を
思い描いてしまいます。

 

この景色が見えること。
この明るさが続くこと。
この静けさが保たれること。

 

でも、
時間が経てば、
周囲の環境は少しずつ変わっていきます。

 

建物が建ち替わるかもしれない。
人の流れが変わるかもしれない。
街の使われ方が変わることもあります。

 

その変化を
すべて止めることはできません。

 

だからこそ、
設計の中で考えたいのは、

 

「変わらないように守る」ことよりも、
「変わっても耐えられる形を残す」
という視点です。

 

たとえば、

特定の眺めだけに
暮らしを預けすぎない。

 

外の条件が変わっても、
内側に
落ち着ける居場所を
しっかり持っておく。

 

視線や音が変わったときにも、
使い方を
少し調整できる余地を
残しておく。

 

設計とは、
一つの答えを
固定することではなく、

時間の中で
使われ続けるための
“余白”を
つくることでもあります。

 

完璧に整えすぎると、
かえって
変化に弱くなることがあります。

 

少し曖昧な部分。
使い方を限定しない場所。

 

そうした要素が、
あとから
暮らしを助けてくれることも
少なくありません。

 

変わる前提で
設計を残す、ということは、

将来を諦めることではなく、
将来に手渡す余地を
残しておくことだと
感じています。

 

環境が変わったとき、
住む人の考え方が変わったとき、

その家が
無理なく
応え続けられるかどうか。

 

それは、
完成直後には
見えにくい価値かもしれません。

 

でも、
時間が経つほどに、
その差は
静かに表れてきます。

 

変わることを
前提にしながら、

それでも
大切な部分が
残り続けるように
設計する。

 

その積み重ねが、
長く寄り添う住まいを
形づくっていくのだと
思っています。