土地が決まったあと、急に不安が増える理由
やっと、決まった。
長い時間をかけて、
迷って、
比べて、
考えて。
そして、
「ここにしよう」と
決めたはずなのに。
その夜から、
なぜか不安が増えていくことがあります。
本当に良かったのだろうか。
もっと良い土地が
あったのではないか。
見落としていることは
ないだろうか。
決める前よりも、
決めたあとのほうが
心がざわつく。
それは、
珍しいことではありません。
むしろ、
とても自然な反応です。
土地が決まるということは、
可能性が
一つに絞られるということ。
他の選択肢を
手放すということ。
比較しているあいだは、
まだ「逃げ道」があります。
けれど、
決めた瞬間から、
その場所と
長く付き合っていく覚悟が
静かに始まります。
不安は、
失敗の予感というより、
「責任を引き受ける」感覚に
近いのかもしれません。
これから、
この土地の上に
家が建つ。
ローンも、
工事も、
近隣との関係も、
すべてが現実味を帯びてくる。
想像だったものが、
具体に変わる。
その変化に、
心が追いつかないことがあります。
もうひとつ、
よくある理由があります。
土地が決まると、
「理想の家」の輪郭が
はっきりし始めること。
はっきりするほど、
うまくいかなかったらどうしよう、
という思いも
同時に膨らみます。
期待が大きいほど、
不安も大きくなる。
それだけ、
真剣だということでもあります。
大切なのは、
不安を消そうと
急がないこと。
不安があるからといって、
判断が間違っているとは
限りません。
むしろ、
「これから始まる」という
実感が生まれた証でもあります。
少し時間を置いて、
もう一度その土地に立ってみる。
朝の空気。
夕方の光。
風の通り方。
静かに感じ直してみると、
最初に選んだ理由が、
思い出されることがあります。
「ここで暮らす」
そのイメージが、
無理なく浮かぶかどうか。
完璧な確信でなくていい。
七割くらいの納得でも、
静かに腹に落ちていれば、
十分なこともあります。
土地が決まったあとに増える不安は、
後悔の予兆ではなく、
現実と向き合い始めた証。
そう捉えてみると、
そのざわつきも、
少しだけ
やわらぐかもしれません。
決めた自分を、
すぐに疑わなくていい。
これからの時間をかけて、
その土地との関係を
ゆっくり育てていけばいいのだと
思います。