階段の踊り場を、思考を整える余白のある書斎空間へ。 暮らしの質を高める住まいの間取り設計

ユーザー やまぐち建築設計室 山口 哲央 の写真

通路となる階段の踊り場を、

暮らしを整える小さな書斎へ。

限られた空間に価値を生む

住まい設計の工夫と提案を。

 4.5帖のスペースを階段踊り場として設計し

 造作デスクと間接照明を組み合わせることで、

 ホテルライクで落ち着きのある

 ワークスペースを実現しています。
 通過空間だった踊り場が、

 暮らしを整える知的な居場所へと

 変わる設計提案。

家づくりを考えるとき、

多くの方がまず思い浮かべるのは

・リビングの広さ

・キッチンのレイアウト

・収納の量

・間取りの使いやすさ

といった、

目に見えて分かりやすい空間です。

もちろんそれらは、

暮らしの快適さを左右する重要な要素です。

しかし実際の設計では、

暮らしの質を大きく左右するのは、

必ずしも「広い空間」だけではありません。

むしろ、

・ちょっとした余白

・通過空間

・使い道を決めていない場所

こうした場所が、

暮らしの奥行きをつくることがあります。

その代表的な場所のひとつが、

階段の踊り場です。

階段の途中にある「水平で少し広い場所」。

多くの住宅では、階段の踊り場は

「ただの通過点」

として設計されることが少なくありません。

しかし建築家の視点で見れば、

踊り場という空間には、

住まいの可能性を広げる余白

が隠れています。

今回は、

階段の踊り場を活用して、

小さな空間をつくる設計の考え方

について、

住宅設計を行う建築家の視点から

少し書いてみたいと思います。

限られた空間を

単なるスペースにするのではなく、

暮らしを豊かにする場所へ変える。

その発想が、

住まい全体の質を大きく変えていきます。

階段の踊り場は、

実は「設計の余白」であるということ。

階段の踊り場は、

・安全性のため(法律にも基準があります)

・方向転換のため

・階段の途中休憩のため

といった理由で設けられることが一般的です。

つまり本来は

機能的な理由で設けられる空間です。

しかし住宅設計では、

このような場所が暮らしの価値を生む空間

へと変わることがあります。

例えば、

・小さな読書スペース

・子どものスタディコーナー

・ギャラリーウォール

・観葉植物のコーナー

・書斎スペース

などです。

特に近年は、

・在宅ワーク

・オンラインミーティング

・読書や学習

といった時間が増えているため、

家の中に

小さな集中空間があることで

過ごし方が変わるという事が認知されています。

しかし、

専用の書斎室を設けようとすると

・部屋数が増える

・建築コストが上がる

・間取りが制約される

といった「面積」上の話が

生じることがあります。

そこで有効なのが、

踊り場を活用した小さな書斎空間や

フリースペースです。

これは単なるスペース活用ではなく、

住まいの設計思想そのものに

関わる場の使い方提案です。

空間の価値は「広さ」ではなく

「意味」で決まるということ。

住宅設計をしていると、

よくこのような相談を受けます。

「できるだけ広い家にしたい」

もちろん、

広さには快適さがあります。

しかし、広いだけの空間は

意外と記憶に残りません。

逆に、

・小さくても居心地がいい

・落ち着いて考えられる

・自分だけの時間が持てる

そんな場所は、

住まいの中で特別な存在になります。

居場所の設計とも呼んでいます。

例えば、

・窓辺のベンチ

・畳の小上がり

・中庭に面した読書スペース

・廊下のスタディコーナー

こうした空間は、

広さではない価値で暮らしの質

を高めます。

踊り場書斎も、

まさにそのひとつです。

踊り場が書斎として優れている理由

実は、階段の踊り場は

書斎に向いた条件

をいくつも備えています。

家族の気配を感じながら集中できる

完全に独立した書斎では、

・家族と距離ができる

・孤立しやすい

という面があります。

一方で踊り場書斎は、

・家族の動線に近い

・程よい距離感

が生まれます。

これは、集中と安心感のバランスを

整える環境になります。

静けさが生まれやすい

階段は

・リビング

・廊下

・個室

の中間に位置する場所です。

そのため

・生活音から少し離れる

・完全な個室ではない

間取りによっては

絶妙な環境になります。

この環境は

思考や読書に適した状態

を生みやすくなります。

自然光を取り込みやすいということ。

階段空間には、

・高窓

・吹抜け窓

・階段窓

が設けられることが多く、

自然光が入りやすい場所にもなり得ます。

自然光のある書斎は、

・目が疲れにくい

・作業効率が上がる

・精神的にも落ち着く

という効果があります。

踊り場書斎をつくる設計のポイント

踊り場を

快適な書斎空間にするためには、

いくつかの設計ポイントがあります。

デスクサイズを最適化するということ。

一般的な書斎デスクは

奥行き60cm前後

ですが、

踊り場書斎では

奥行き40〜50cm程度

でも十分機能します。

むしろコンパクトな方が

・圧迫感が減る

・動線が確保できる

というメリットがあります。

壁面収納を活用する事も視野に。

限られた空間では

縦方向の活用が重要になります。

例えば

・壁面本棚

・吊り棚

・ニッチ収納

などです。

壁面収納は

・収納力が高い

・空間を広く見せる

という効果があります。

造作家具を取り入れる工夫。

踊り場書斎では

造作家具が非常に有効です。

既製家具では

・サイズが合わない

・動線を邪魔する

ことがあります。

一方で造作家具なら

・空間にぴったり収まる

・デザイン統一ができる

そのため、

住まい全体の美しさも整います。

照明計画が空間の質を決める

書斎空間で重要なのが

照明計画です。

特に踊り場書斎では、

・天井照明

・手元照明

・間接照明

のバランスが重要になります。

例えば

・デスク上のペンダント

・壁付けブラケット

・棚下照明

などを組み合わせることで、

落ち着いた知的空間が生まれます。

照明の質は

空間の雰囲気だけでなく

思考の質にも影響する

と言われています。

動線設計は必ず考えること。

踊り場書斎で注意すべきなのは

階段動線との関係です。

例えば

・椅子が通行の邪魔になる

・荷物が通れない

・安全性が低下する

こうした問題が起きないよう

・椅子の位置

・デスク奥行き

・手すり位置

などを使い勝手と共に検討します。

これは、生活と暮らしを読み解く

建築設計の経験が必要な部分

でもあります。

比較的ミニマムな書斎が

暮らしを豊かにする理由・・・・・。

住まいの中に

ほんの少しの個人空間

があるだけで、

暮らし全体の構成は大きく変わります。

例えば

・読書の習慣ができる

・思考の整理ができる

・仕事がはかどる

・家族の学習環境になる

つまり

暮らしの知的時間

が生まれるということです。

これは住まいの満足度を

長い時間にわたって高めます。

建築家が大切にしている設計思想

やまぐち建築設計室では、

住まいを設計するときに

パズルの組み合わせのように

・間取り

・設備

・デザイン

を考えるだけではありません。

大切にしているのは

それぞれの家族にとって

適切な場をどのような状態で使い、

どう過ごすのかという

暮らしの時間に対する

質の在り方です。

人は意外にも「個」の時間が大事で

・静かに考える時間

・本を読む時間

・自分を整える時間

を持つことで

心のバランスが整います。

踊り場書斎は、

そんな時間を生む

小さな装置にもなります。

空間の余白が暮らしを整えるということ。

住宅設計には、

余白という考え方があります。

すべてを機能で埋めるのではなく

少しの余白を残すことで

暮らしに余裕が生まれる。

車を運転する人にならばわかる

ハンドルの「あそび」がありますよね。

その考え方と同じです。

踊り場書斎は、

まさに

余白から生まれる豊かさのある空間です。

広い家だけが

豊かな住まいではありません。

小さな場所に余白のある

意味を与えることで

住まいと暮らしは、深みを持ちます。

階段の踊り場を活用した書斎は、

限られた空間を

最大限に活かす設計の

ひとつの工夫です。

ただの通過空間だった場所が、

・思考を整える場所

・学びの場所

・静かな時間を持つ場所

へと変わります。

住まいとは、

単に生活をする場所ではなく

人生の時間を

丁寧に過ごす場でもあります。

だからこそ、

ほんの小さな空間にも

固定しすぎない

余白、余裕を持たせた意味を

与えることが大切です。

もしこれから家づくりを考えるなら、

間取りだけではなく

暮らしの質を生む場所

についても考えてみてください。

その小さな工夫が、

住まいの質と暮らしの満足度を

長く支えてくれるはずです。

少し立ち止まって

家造りについて考えてみたい

そんな方の目に、

そっと届けば幸いです。

○関連blog
段差がもたらす上質な暮らしの心地良さ・スキップフロアで叶える開放感と静けさの共存。 奈良の環境を汲み取りながら建てる和モダンの意識を持った住宅のリビング設計、光・素材・動線が紡ぐ心地よい空間デザイン提案。

https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail628.html

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