設計者が、すぐに答えを出さない理由

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打ち合わせの中で、
ふと疑問が浮かぶことがあります。

 

「これって、どうすればいいですか?」

 

はっきりした答えが
ほしくなる瞬間。

 

正解を教えてもらえれば、
安心できる。

 

その気持ちは、
とても自然です。

 

けれど、
設計者がすぐに答えを出さないことがあります。

 

それは、
迷っているからではありません。

 

あえて、
答えを急がないようにしていることがあります。

 

家づくりの中で出てくる問いには、

 

ひとつの正解が
あるわけではないものが
多くあります。

 

どちらが正しいかではなく、

 

どちらが自分たちに合っているか。

 

その違いが、
とても大きい。

 

もし、
すぐに答えを出してしまうと、

 

その答えが、
正解のように見えてしまうことがあります。

 

そうすると、
自分たちで考える余地が、
少しずつ小さくなる。

 

設計は、
誰かの正解を
当てはめる作業ではありません。

 

自分たちの中にある
感覚を見つけていくプロセスです。

 

だから、
すぐに答えを出さずに、

 

問いをそのまま
少し置いておく。

 

考える時間を持つ。

 

言葉にならない感覚が
浮かんでくるのを待つ。

 

その時間が、
後から大きな意味を持つことがあります。

 

また、
すぐに答えられる問いでも、

 

あえて、
もう少し深く考えたほうがいい場合があります。

 

なぜ、その選択をしたいのか。

 

どんな暮らしにつながるのか。

 

そこまで見えたとき、
選択は
より納得のあるものになります。

 

答えを急ぐと、
迷いは一度消えます。

 

けれど、
あとから戻ってくることもある。

 

少し時間をかけて見つけた答えは、

 

すぐには揺れにくい。

 

設計者が
すぐに答えを出さないのは、

 

考えさせるためではなく、

 

自分たちの中から
答えが出てくる余地を
残しておくため。

 

その余白があることで、

 

家づくりは、
誰かに導かれるものではなく、

 

自分たちで見つけていくものへと
変わっていきます。

 

すぐに答えが出ない時間も、

 

無駄ではなく、
設計の一部。

 

その時間が、
暮らしに
静かな納得をもたらしてくれるのだと
感じています。