決めきらないことで守られるもの

ユーザー ナイトウタカシ建築設計事務所 ナイトウタカシ の写真

家づくりでは、
多くのことを決めていきます。

 

間取り。
素材。
色。

 

ひとつずつ、
形を固めていく。

 

決めることは、
前に進むために必要です。

 

けれど、
すべてを決めきることが、
必ずしも良いとは限りません。

 

ときには、
あえて決めきらない。

 

少し余白を残す。

 

そんな選択もあります。

 

すべてを最初に決めてしまうと、

 

その時点の考えが、
そのまま固定されます。

 

まだ見えていない暮らしや、
これから変わっていく感覚が、

 

入り込む余地が
なくなってしまうこともある。

 

一方で、
少しだけ決めきらずに残しておくと、

 

後から調整できる余地が生まれます。

 

住み始めてから気づくこと。

 

実際に暮らしてみて、
見えてくること。

 

その変化を、
柔らかく受け止めることができる。

 

決めきらないことは、
曖昧にすることではありません。

 

あえて、
余地を残しておくこと。

 

今の自分たちだけでなく、
これからの自分たちにも
開いておくこと。

 

設計は、
完成した瞬間で終わるものではなく、

 

暮らしとともに
少しずつ変化していくものです。

 

その変化に対応できるように、

 

すべてを固めすぎない。

 

そのバランスが、
長く心地よく暮らすための
ひとつの鍵になります。

 

もちろん、
決めるべきことはあります。

 

構造や安全性。
大きな方向性。

 

そこは、
しっかりと定める。

 

そのうえで、
細かな部分や使い方に、

 

少しだけ余白を残す。

 

すると、
暮らしは
窮屈にならず、

 

時間とともに
なじんでいきます。

 

決めきることで得られる安心と、

 

決めきらないことで守られる柔らかさ。

 

その両方を、
うまく重ねていくこと。

 

それが、
長く続く住まいをつくるための、

 

ひとつのあり方なのだと
感じています。