人生の質を整える住まいとは何か。|間取りの前に考える「暮らしの価値観」と日日是好日の設計

「良い家」をつくるのではなく、
「良い一日」を積み重ねるための住まいを。
日日是好日から考える、
人生と住まいの営みについて。
「このままでいいのだろうか?」
家づくりを考え始めたときだけではなくて、
日々の暮らし、生活時間のなかで
多くの方が心のどこかで感じる「問い」。
晴れの日も、雨の日も
その日の出来事に左右されず、
自分に戻れる場所があるかどうかで、
一日の質は大きく変わります。
その一日を整えるのは、
出来事だけではなく
環境と「関係性の思考」から生まれるものです。
家造りに限った事ではなくて
間取りやデザインの前に、
もっと深いところ・・・・・。
自分たちの
人生の在り方そのものに
向けられた問い。
SNSや住宅展示場で見かける美しい住まい。
整えられた空間、洗練されたインテリア。
どれも魅力的に映ります。
けれど、
ふと立ち止まったときに、
こう思うことはないでしょうか?
この暮らしは、
本当に自分たちが願ったことなのか?
自分たちに合っているのだろうかと。
誰かの正解ではなく、
自分たちの人生を
生きるということ・・・・・。
現代は、情報にあふれています。
日々の暮らしや仕事でもそうですし、
家づくりにおいても例外ではありません。
・人気の間取り
・失敗しない動線
・おしゃれなインテリア
・後悔しない家づくり
それらは確かに参考になります。
しかし同時に、
それらは無意識のうちに、
「誰かの正解」を
自分の最適解だと思い込ませる
力も持っています。
本来、住まいとは
他者と比較するためのものではありません。
他の人の価値観の中で暮らすのか
自分たちにとって
意味のある最適解の空間で過ごすのか?
住まいは自分たちの人生の時間を、
どのように過ごすのかを
カタチにするものです。
「日日是好日」が問いかけていること
人生の先輩方、
神職や住職から
よく拝聴する言葉があります。
禅の言葉である
碧巌録 に記された「日日是好日」。
この言葉の意味は、
「毎日が楽しい」ということを
示したものではありません。
むしろ逆で、
・思い通りにいかない日
・心が揺れる日
・疲れを感じる日
そうした日々を含めて、
すべてが人生であり、
その一日一日を
どのように受け止めるかが大切である
という考え方を示したものです。
つまり、人生とは
良い日と悪い日があるのではなく、
“どう生きるか”によって
日々の質が決まっていくものです。
住まいは「人生の感じ方」をつくる
環境であるということ。
ここで一つ、
見落とされがちな視点があります。
それは、気持ちをつくるうえで、
人の心は、環境によって
大きく左右されるということです。
例えば、
・朝、やわらかな光が差し込む空間で目覚めるのか
・雑然とした空間の中で一日を始めるのか
それだけでも、
その日の感じ方は大きく変わります。
また、
・帰宅したときにほっとする空間なのか
・どこか落ち着かない空間なのか
その違いは、
日々の積み重ねとして、
確実に人生の質に影響を与えていきます。
つまり、
住まいは、単なる器ではなく、
人生の“感じ方”を形づくる存在なのです。
環境心理学が示す、
空間と心の関係性・・・・・。
〇関連blog
家づくりの相談は人生相談ということ|建築家が考える、後悔しないための暮らしと時間の質を整える住まい設計の本質
https://www.y-kenchiku.jp/blog_detail815.html
環境心理学の視点から見ると、
人は無意識のうちに、
空間から多くの影響を受けています。
・光の質や量
・視線の抜け
・素材の触感
・音の反響
・空間の余白
これらはすべて、
言葉にできないレベルで、
私たちの感情や思考に働きかけています。
例えば、
・天井が低く閉じた空間では安心感が生まれる
・視線が遠くまで抜ける空間は開放感が生まれる
・自然光がやわらかく入る空間では心が落ち着く
こうした要素の積み重ねが、
「なんとなく心地いい」
「理由は分からないけれど落ち着く」
という感覚を生み出します。
そしてその感覚こそが、
その日を“好い日”に変えていく
チカラになります。
音楽を聴いていても、
そんな心の変化はあるのでは?
間取りの前に人生を考えるという設計。
家づくりの打ち合わせでは、
どうしても
具体的な話に進みがちかと思います。
・部屋数はどうするか
・収納はどれくらい必要か
・キッチンはどの位置が良いか
しかし、
その前に考えるべきことがあります。
それは、このブログでも
何度も書いているものですが、
「どんな時間を過ごすのか?」
という問いです。
・朝の時間を丁寧に過ごしたいのか
・家族との会話を自然に生み出したいのか
・一人の時間を大切にしたいのか
・自然とつながる暮らしを望むのか
この問いに向き合うことは、
自分自身の人生、
そして・・・家族の人生に
向き合うことでもあります。
「余白」が人生の質を高める
現代の暮らしは、
どちらかといえば
効率化が進んでいます。
・無駄のない動線
・コンパクトで機能的な空間
・最適化された収納
これらは確かに便利です。
しかし、効率だけを追い求めると、
心の余白が失われていくことが
あります。
例えば、
・何もせずにぼんやりできる場所
・外の景色を眺める時間
・光と影の変化を感じる瞬間
これらは一見「無駄」に
見えるかもしれません。
けれど実は、
人生の豊かさを支えている
本質的な要素となる内容です。
住まいにおいて
・余白のある空間
・意味を持たせすぎない場所
・使い方を限定しない領域
これらがあることで、
暮らしのシーンに
大事な「呼吸」が生まれます。
内と外のあいだにある「豊かさ」
やまぐち建築設計室が大切にしている
「内的外部」という考え方があります。
それは、
完全な室内でもなく、完全な屋外でもない
曖昧で中間的な領域です。
・深い軒の下
・中庭に面した開口部
・半屋外のテラス
こうした空間は、
外の気配を感じながらも、
守られている安心感を持っています。
そしてこの“曖昧さ”が、
人の心に豊かな余韻を生み出します。
人生においても同じです。
白か黒かではなく、
はっきりしない時間や余白があることで、
人は自分自身と
向き合うことができます。
住まいは、
人生の積み重ねを受け止める場所。
人生には、
・順調なとき
・立ち止まるとき
・迷うとき
・前に進むとき
さまざまな局面があります。
喜怒哀楽の場面を含めて・・・・・。
そのすべてを受け止める場所が、
住まいです。
だからこそ、
住まいは「特別な日のため」ではなく、
日常のために設計されるべきものです。
そしてその日常こそが、
人生そのものです。
「日日是好日」という言葉は、
どんな日も肯定するための言葉ではなく、
どんな日も
丁寧に生きるための視点。
そしてその視点は、
住まいの設計にもそのまま通じます。
・どんな一日でも受け止められる空間
・心を整えることができる環境
・人生の変化に寄り添う余白
それらを丁寧に重ねていくことが、
本当の意味での家づくりです。
家づくりとは、
建物をつくることだけではありません。
これからの人生を、
どのように生きていくのかを
整えるための行為。
家造りは目的ではなくて
一つの手段なんです。
だからこそ、間取りを考える前に、
少しだけ立ち止まってみてください。
自分たちは、
どんな一日を積み重ねていきたいのか?
その問いの中に、
あなたにとっての住まいの本質が、
見えてくるはずです。
やまぐち建築設計室では、
そうした“価値観から考える家づくり”を
大切にしています。
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■やまぐち建築設計室■
奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
建築家 山口哲央
https://www.y-kenchiku.jp/
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