最初の印象は、時間とともに変わっていく

ユーザー ナイトウタカシ建築設計事務所 ナイトウタカシ の写真

住み始めたばかりの頃、
こんな感想をいただくことがあります。

 

「最初に入ったときの印象と、
 少し変わってきました」

 

引き渡しの日に感じた空間と、
数週間、数ヶ月と過ごしたあとの感覚が、

 

どこか違っている。

 

最初は広く感じた場所が、
少し落ち着いた大きさに感じられたり、

 

逆に、
あまり意識していなかった場所が、
居心地のいい場所になっていたり。

 

こうした変化は、
とても自然なものです。

 

最初の印象は、
その空間に「初めて触れる」感覚から
生まれています。

 

まだ生活の気配がなく、

 

光や広がり、
形そのものを強く感じる状態。

 

少しだけ緊張したような、
新鮮な感覚です。

 

そこに暮らしが重なっていくと、

 

空間の見え方は
少しずつ変わっていきます。

 

家具が入り、
物が置かれ、

 

人の動きや時間の流れが
加わっていく。

 

その中で、
空間は「見るもの」から
「使うもの」へと変わっていきます。

 

すると、
印象も自然と変化していく。

 

最初に感じた良さが
そのまま続く部分もあれば、

 

別の形で
心地よさを感じるようになることもある。

 

大切なのは、
最初の印象だけで判断しないことです。

 

そのときの感覚は、
ひとつの大切な手がかりではありますが、

 

暮らしのすべてを
決めるものではありません。

 

時間とともに、
少しずつ馴染み、

 

新しい見え方が
生まれてくる。

 

その変化を含めて、
住まいは成り立っています。

 

最初の印象が変わることは、

 

良くないことではなく、

 

暮らしが
その場所に重なってきた証でもあります。

 

その変化を受け止めながら、

 

いま感じている心地よさに
目を向けていく。

 

その中で、
住まいは少しずつ
自分たちの場所になっていくのだと
思っています。