空間は、住む人に合わせて変わっていく
住み始めてしばらく経った頃、
こんなふうに話していただくことがあります。
「最初と、使い方が少し変わってきました」
ここで過ごすと思っていた場所が、
別の使われ方になっていたり、
あまり意識していなかった場所に、
自然と人が集まるようになっていたり。
図面のときに描いていた使い方と、
少し違う形が生まれてくる。
この変化は、
とても自然なものです。
設計の段階では、
ある程度の使い方を想定します。
ここでくつろぐ。
ここで作業をする。
その前提で、
空間の関係を整えていく。
けれど、
実際の暮らしは、
その通りに進むとは限りません。
日々のリズムや、
家族の関係、
そのときの気分や
時間の使い方によって、
空間の使われ方は
少しずつ変わっていきます。
その中で、
最初に想定していた役割とは違う
意味が生まれてくる。
それは、
計画がずれたということではなく、
空間が
その人の暮らしに合わせて
変化している状態とも言えます。
人が空間に合わせるだけでなく、
空間もまた、
人の使い方を受け止めながら、
少しずつ意味を変えていく。
その関係があることで、
暮らしは
無理のないものになっていきます。
もし、
決めた使い方に
無理に合わせようとすると、
どこかで
窮屈さが生まれることもあります。
けれど、
実際の使い方を受け入れていくと、
空間は自然と
その暮らしに馴染んでいきます。
大切なのは、
最初の想定にこだわりすぎないこと。
いま実際に起きている使い方を、
そのまま見てみること。
その中に、
自分たちらしい暮らしの形が
すでに現れていることがあります。
空間は固定されたものではなく、
住む人とともに
少しずつ変わっていくもの。
その変化を受け止めながら、
自分たちの暮らしを
整えていくことができれば、
住まいは
より自然で、
心地よい場所になっていくのだと
思っています。