最初の満足と、長く続く満足は違う

ユーザー ナイトウタカシ建築設計事務所 ナイトウタカシ の写真

引き渡しの日、
新しい家に入った瞬間に、

 

「わあ、いいですね」

 

そんな声が自然に出ることがあります。

 

新しい空間。

 

整った仕上がり。

 

思い描いていた形が、
実際の空間として目の前にある。

 

その瞬間の満足感は、
とても大きなものです。

 

けれど、
住まいの満足には、

 

もうひとつ別の種類があります。

 

それは、
時間が経ったあとに残る満足です。

 

住み始めてからの暮らし。

 

何気ない毎日。

 

その積み重ねの中で、
少しずつ感じる心地よさ。

 

朝の光が気持ちいい。

 

帰ってくると落ち着く。

 

無理なく過ごせている。

 

そうした感覚は、
派手ではありません。

 

けれど、
静かに続いていきます。

 

最初の満足は、
「完成したこと」に近い感覚です。

 

一方で、
長く続く満足は、

 

「暮らしが馴染んでいること」に近い。

 

その違いがあります。

 

最初は印象が強くても、
時間とともに疲れてしまう空間もあります。

 

逆に、
最初は目立たなくても、

 

住み続けるほど
心地よさが深まっていく場所もある。

 

その差は、
暮らしとの相性にあるのかもしれません。

 

毎日使っても無理がない。

 

自然に過ごせる。

 

少しずつ馴染んでいく。

 

そうした感覚があることで、
満足は長く続いていきます。

 

設計では、
完成時の美しさだけでなく、

 

時間が経ってからの心地よさも
大切にしたいと思っています。

 

住まいは、
見るものではなく、
暮らしていくものだからです。

 

最初の満足と、
長く続く満足は違う。

 

その視点を持つことで、

 

住まいに求めるものも、
少しずつ変わっていくのかもしれません。