便利さと心地よさは同じではない

ユーザー ナイトウタカシ建築設計事務所 ナイトウタカシ の写真

打ち合わせの中で、
間取りを見ながら、

 

「このほうが便利ですよね」

 

そんな会話になることがあります。

 

移動距離が短い。

 

収納が近い。

 

動線が効率的。

 

たしかに、
便利に暮らすための工夫は大切です。

 

できるだけ負担なく、
スムーズに動けること。

 

それによって、
日々の暮らしが楽になる部分もあります。

 

けれど、
便利であることと、

 

心地よく感じることは、
必ずしも同じではありません。

 

たとえば、
最短距離で動ける間取りが、

 

いつも落ち着くとは限らない。

 

少し遠回りでも、
窓の光を感じながら歩くほうが、

 

心地いいと感じることもあります。

 

効率だけを考えると、
余白は無駄に見えるかもしれません。

 

けれど、
その余白があることで、

 

気持ちが整ったり、
空気にゆとりが生まれたりすることがあります。

 

暮らしは、
作業だけでできているわけではありません。

 

休むこと。

 

ぼんやりすること。

 

何気なく過ごすこと。

 

そうした時間も、
毎日の中には含まれています。

 

だからこそ、
便利さだけを追いかけると、

 

どこか落ち着かない空間になることがあります。

 

もちろん、
使いにくい家がいいわけではありません。

 

けれど、
便利さを優先するあまり、

 

感覚の部分が置き去りになってしまうこともある。

 

設計では、
効率だけではなく、

 

「そこでどう感じるか」も
大切にしたいと思っています。

 

少し立ち止まりたくなる場所。

 

自然と深呼吸したくなる空気感。

 

そうしたものは、
数値では測りにくい。

 

けれど、
長く暮らしていく中では、

 

とても大切な要素になっていきます。

 

便利さと心地よさは、
似ているようで少し違う。

 

その違いを意識してみることで、

 

住まいに求めるものも、
少し変わってくるのかもしれません。