使い方を変えるという選択

ユーザー ナイトウタカシ建築設計事務所 ナイトウタカシ の写真

住み始めて何年か経った頃、
こんなふうに話していただくことがあります。

 

「最近、
 この部屋の使い方を変えたんです」

 

最初は、
設計したときに想像していた通りに
空間を使っていきます。

 

ここは子どものスペース。

 

ここは作業場所。

 

ここで家族が過ごす。

 

そうした前提で、
暮らしが始まっていく。

 

けれど、
時間が経つにつれて、

 

暮らし方そのものが
少しずつ変わっていきます。

 

家で過ごす時間。

 

必要な距離感。

 

落ち着く場所。

 

その変化に合わせて、
空間に求める役割も変わっていく。

 

すると、
最初の使い方が、

 

今の暮らしには
少し合わなく感じることがあります。

 

そんなとき、
「最初に決めたから」と
そのまま使い続けることもできます。

 

けれど、
使い方を変えてみることで、

 

暮らしがぐっと楽になることがあります。

 

家具の位置を変える。

 

過ごす場所を変える。

 

空間の役割を変えてみる。

 

その小さな調整だけでも、

 

住まいとの関係は
少しずつ変わっていきます。

 

住まいは、
最初の形を守り続けるためだけのものではありません。

 

今の暮らしに合わせて、
柔らかく変わっていけることも、
大切なのだと思っています。

 

もちろん、
大きく変える必要はありません。

 

ただ、
「こう使わなければいけない」
という考えを少し緩めてみる。

 

すると、
新しい居心地のよさが
見えてくることがあります。

 

使い方を変えるという選択は、

 

最初の計画を否定することではなく、

 

いまの暮らしに
自然に合わせていくことなのかもしれません。

 

その積み重ねの中で、

 

住まいは少しずつ、
“今の自分たち”に合う場所へと
整っていくのだと思っています。