奈良で注文住宅を考え始めた方へ|検索やAIでは見つからない、建築家と考える後悔しない家づくりの「判断軸」

検索しても、
AIに聞いても決められない時代
家づくりに本当に必要なのは
「情報」ではなく「判断軸」
「家を建てよう。」
そう考えた瞬間、
多くの人はまずスマートフォンを手に取ります。
「奈良 注文住宅」
「奈良 平屋」
「注文住宅 後悔」
「土地探し 何から始める」
「工務店と設計事務所の違い」
最近では、
それに加えてAIに
質問することも珍しくなくなりました。
「家づくりは何から始めればいい?」
「平屋と二階建てはどちらがおすすめ?」
「収納はどれくらい必要?」
「土地を先に買っても大丈夫?」
ほんの数秒で、
多くの答えが返ってきます。
少し前の時代には
考えられなかったほど、
多くの情報へ簡単に
アクセスできるようになりました。
これは、とても素晴らしいことです。
住宅会社へ行く前に
基本的な知識を得ることができます。
建築用語も理解できます。
住宅性能や断熱性能、
耐震性能についても
学ぶことができます。
施工事例も
数え切れないほど
見ることができます。
つまり、
情報不足で失敗する可能性は、
以前より確実に減っています。
しかし、その一方で、
私のもとに、
ここ数年で増えた相談があります。
それは、
「調べれば調べるほど分からなくなりました。」
という相談事です。
これは決して
珍しいことではありません。
むしろ、
今では最も多く耳にする言葉の一つです。
情報は増えた。
でも、迷いも増えた。
家づくりは、
一生に一度あるかないかの大きな決断です。
土地を選ぶ。
住宅会社を選ぶ。
予算を決める。
住宅ローンを考える。
間取りを考える。
収納を考える。
断熱性能を考える。
耐震性能を考える。
デザインを考える。
家族の将来も考える。
その一つひとつが、
暮らしに大きな影響を与えます。
だからこそ、
人は慎重になります。
そして慎重になるほど、
さらに情報を集めます。
すると、
A社では「平屋がおすすめ」
B社では「二階建ての方がコストパフォーマンスが良い」
ある記事では
「ファミリークローゼットは必須」
別の記事では
「ファミリークローゼットは使いづらくて後悔した」
ある建築会社は
「高気密・高断熱が最優先」
別の会社は
「性能だけでは快適な家にはならない」
どれも間違いではありません。
だからこそ迷うのです。
もし一つだけが正解なら、
家づくりはもっと簡単。
しかし現実には、
それぞれの意見には理由があります。
敷地条件が違う。
家族構成が違う。
生活時間が違う。
趣味も違う。
価値観も違う。
同じ答えが、
そのまま別の家族にも
当てはまるとは限りません。
AIは「一般的な答え」を
教えてくれる
AIも同じです。
質問すれば、
数秒で整理された答えが返ってきます。
昔なら何時間も調べていた内容が、
すぐに分かります。
これは本当に便利です。
私自身も、
AIは仕事の中で活用する事もあります。
だから私は、
AIを否定したいわけではありません。
むしろ、これからの家づくりには
欠かせない存在になるでしょう。
ただ、一つだけ
AIが答えられない質問があります。
それは、
「あなたの家族にとって、何が一番大切ですか?」
という問いです。
例えば、
共働きだから家事時間を短くしたい。
休日は庭でゆっくり過ごしたい。
子どもとの時間を増やしたい。
趣味の時間を確保したい。
親との距離感を大切にしたい。
将来も安心して暮らしたい。
どれも正解です。
しかし、
その優先順位は家族ごとに違います。
AIは多くの知識を整理できます。
しかし、
その家族だけの
価値観までは決められません。
家づくりで一番大切なのは
「正解」を探すことではありません
私は二十年以上、
奈良を中心に
多くの住まいづくりに
携わってきました。
その中で
強く感じていることがあります。
家づくりで満足されているご家族は、
「一番高性能な家を建てた人」でも、
「一番高価な家を建てた人」
でもありません。
本当に満足されているのは、
自分たちに合った選択ができた人です。
つまり、
大切なのは情報量ではありません。
知識量でもありません。
ましてや流行でもありません。
本当に必要なのは
自分たち家族が
何を大切にして
暮らしたいのかという「判断軸」。
この判断軸があると、
土地を見る視点が変わります。
間取りを見る視点も変わります。
収納の考え方も変わります。
住宅会社の選び方も変わります。
AIから得た情報も、
検索で見つけた記事も、
「参考情報」として
正しく活かせるようになります。
逆に、判断軸がないまま
情報だけを集め続けると、
選択肢は増えますが、
決断は難しくなっていきます。
「調べること」が
目的になっていませんか?
家づくりを始めると、
多くの方が毎日のように
検索を繰り返します。
気がつけば、
施工事例を何百枚も見ている。
SNSで素敵な住まいを保存している。
AIにも何度も質問している。
もちろん、
それ自体は悪いことではありません。
しかし、
ある時点で立ち止まって
考えていただきたいことがあります。
「私は情報を集めているのだろうか。
それとも、
安心できる答えを
探し続けているのだろうか。」
家づくりには、
不安がつきものです。
だからこそ、
「絶対に失敗しない答え」を
探したくなります。
けれど、その答えは、
検索結果の中にも、
AIの返答の中にも、
そのまま存在するわけではありません。
一つひとつの情報を、
自分たちの暮らしに照らし合わせ、
何を優先するのかを考えていく。
その積み重ねが、
家づくりの判断軸になります。
そして、
その判断軸を
一緒に整理していくことこそが、
建築家の大切な役割だと
私は考えています。
なぜ情報が増えるほど、
人は決断できなくなるのか
「正解」を探し続けるほど、
本当に大切なものを
見失ってしまう理由
検索やAIが普及したことで、
家づくりの情報は飛躍的に増えた一方で、
「調べれば調べるほど迷ってしまう人」が
増えているというお話をしました。
では、なぜそのようなことが
起きるのでしょうか?
一見すると、
不思議なことのように思えます。
情報が多ければ多いほど、
正しい判断ができそうな気がします。
知識が増えれば、
失敗も減りそうです。
ところが実際には、
その逆の現象が起きることがあります。
その理由は、
「人の脳の仕組み」にあります。
人は、選択肢が増えすぎると
決められなくなる
例えば、
レストランへ行ったとします。
メニューが10種類なら、
多くの人は比較的短時間で
選ぶことができます。
ところが、
100種類のメニューが
並んでいたらどうでしょう。
「もっと良いものがあるかもしれない。」
「本当にこれで良かったのだろうか。」
そんな気持ちになり、
なかなか決められなくなります。
これは、
行動経済学や消費者心理学でも
知られている現象で、
選択肢が増えすぎることで
意思決定が難しくなることが起こります。
家づくりは、
この現象が特に起こりやすい分野です。
なぜなら、
特に注文住宅の場合には
決めることの数が圧倒的に多いからです。
土地を選ぶ。
住宅会社を選ぶ。
設計事務所にするか、
工務店にするかを考える。
住宅ローンを比較する。
断熱性能や耐震性能を検討する。
キッチンや浴室などの設備を選ぶ。
仕様や色を詳しく選定する。
床材や壁材、照明計画、
収納計画まで、
一つひとつが暮らしに直結します。
しかも、それぞれに
何通りもの選択肢があります。
つまり、
家づくりとは
「人生最大級の意思決定の連続」なのです。
「もっと良い答えがあるかもしれない」
という心理
検索をしていると、
次々と新しい情報が見つかります。
「この会社も良さそう。」
「こちらの記事も参考になりそう。」
「AIにも聞いてみよう。」
その繰り返しの中で、
いつの間にか、
「もっと良い答えがあるはずだ」
という気持ちが強くなります。
この心理そのものは自然なものです。
家造りに限らず、
様々な選定の場面で起こる事だと思います。
家づくりは決して安い
買い物ではありません。
何十年も暮らす住まいだからこそ、
慎重になるのは当然です。
しかし、「もっと良い答え」を
探し続けることが
目的になってしまうと、
いつまでも決断できなくなります。
例えば、
SNSで理想的なキッチンを
見つけたとします。
すると、次はもっと素敵な
キッチンが目に入ります。
さらに見ていると、
もっと魅力的なリビングが出てきます。
気付けば、
自分たちの暮らしではなく、
「誰かの理想」を
集めることが
目的になってしまうことがあります。
決断には、
エネルギーが必要です
もう一つ
知っていただきたいことがあります。
人は、決断を重ねるほど疲れます。
朝起きてから夜眠るまで、
私たちは無数の選択をしています。
何を着るか。
何を食べるか。
仕事をどう進めるか。
誰に連絡するか。
こうした小さな判断の
積み重ねだけでも、
脳はエネルギーを使っています。
家づくりでは、
その何倍もの重要な決断を
短期間で繰り返します。
その結果、
「もう何が正しいのか分からない」
という状態になることがあります。
これは、
意志が弱いからでも、
知識が足りないからでもありません。
人間の脳の自然な反応です。
だからこそ、
家づくりでは「迷わない人」を
目指す必要はありません。
大切なのは、
迷ったときに
立ち返る基準を持つことです。
情報を集めることと、
判断することは違います
ここで、
一つ大切なことを・・・・・。
情報を集めることは、
とても重要です。
しかし、情報を集めることと、
判断することは別の作業です。
例えば、
断熱性能について学ぶことは大切です。
耐震性能について
知ることも大切です。
収納計画について
調べることも役立ちます。
しかし、
それらを知っただけでは、
「自分たちに合う家」は決まりません。
例えば、
小さなお子さまがいるご家庭と、
ご夫婦二人で暮らすご家庭では、
求める間取りも収納も違います。
例えば、
在宅勤務が中心の方と、
毎日通勤される方では、
仕事部屋の考え方も変わります。
例えば、奈良県内でも、
都市部と自然豊かな地域では、
光の取り入れ方や窓の配置、
庭との関係性も変わってきます。
同じ情報でも、
家族によって「最適解」は
異なるのです。
建築家が最初に考えるのは、
「どんな家を建てるか」ではありません
私は、ご相談に来られた方へ、
いきなり間取りの話を
することはほとんどありません。
まずお聞きするのは、
「どんな家を建てたいですか。」
ではなく、
「どんな暮らしを送りたいですか。」
ということです。
休日はどのように過ごされていますか。
朝はどのような時間の流れですか。
家事で大変だと感じることはありますか。
お子さまとの時間で大切にしたいことはありますか。
十年後、二十年後、
どのような暮らしを思い描いていますか。
こうした会話の中から、
ご家族だけの価値観が
少しずつ見えてきます。
その価値観こそが、
家づくりの判断軸になります。
建築家の役割は、
「正解を教えること」ではありません。
情報を整理し、
ご家族自身もまだ言葉にできていない
想いを引き出し、
それを住まいという形に
変えていくことだと考えています。
「判断軸」がある人は、
迷っても前へ進める
家づくりで一度も迷わない人はいません。
私自身も、
一つの設計をまとめるまでに
何度も検討を重ねます。
暮らしの内容を整理し、
価値観を共有し、
敷地と暮らしを読み、
模型をつくり、
図面を描き、敷地を歩き、
光や風を読みながら、
本当にこの計画が、
そのご家族にとって最善なのかを
何度も問い直します。
迷うこと自体は
悪いことではありません。
大切なのは、
「何を基準に選ぶのか」が
明確になっていることです。
判断軸がある人は、
途中で迷っても、
その軸に立ち返ることができます。
一方で、
判断軸がないまま
情報だけを集め続けると、
新しい情報が出るたびに
気持ちが揺れ動いてしまいます。
だからこそ、
家づくりで最初に整えるべきなのは、
間取りでも予算でもなく、
自分たちはどんな
暮らしを望んでいるのかという
基準なのです。
AIは答えをくれる。
でも、あなたの人生までは
決めてくれない
建築家という仕事が、
これからの時代に
果たす本当の役割
ここ数年で、
家づくりの情報収集の
方法は大きく変わりました。
以前であれば、
本や住宅雑誌を読み、
住宅展示場へ足を運び、
住宅会社へ相談することが一般的でした。
しかし今は違います。
検索すれば、
数え切れないほどの記事が見つかります。
SNSには全国の施工事例が
毎日のように投稿されています。
そしてAIに質問すれば、
数秒で整理された
答えのように解釈できるものが
返ってきます。
「平屋のメリットは?」
「土地探しは何から始めればいい?」
「収納はどれくらい必要?」
「注文住宅で後悔しやすいポイントは?」
こうした質問に対して、
AIは分かりやすく、
しかも短時間で答えてくれます。
私は、この変化をとても
前向きに受け止めています。
AIは、家づくりを考える方にとって、
大きな助けになる存在だからです。
専門用語を
分かりやすく説明してくれる。
複数の考え方を比較してくれる。
情報を整理してくれる。
これまで何時間もかけて
調べていたことを、
数分で理解できるようになりました。
これは、
本当に素晴らしいことです。
だから私は、
「AIは使わないほうがいい」とは
思っていません。
むしろ、
これからの家づくりでは、
AIを上手に活用することが
大切だと考えています。
AIが得意なこと
AIには、
得意なことがあります。
膨大な情報を整理すること。
複数の選択肢を比較すること。
専門用語を分かりやすく説明すること。
一般的な成功例や失敗例をまとめること。
例えば「注文住宅でよくある後悔」
と質問すれば、
収納不足。
コンセントの位置。
生活動線。
断熱性能。
窓の配置。
予算オーバー。
このような内容を、
分かりやすく整理して教えてくれます。
これは非常に価値があります。
何も知らずに家づくりを始めるよりも、
多くの失敗を
未然に防ぐことができます。
だから私は、
ご相談に来られる方が
事前に情報を集めていることを、
とても良いことだと思っています。
でも、AIが答えられない
質問があります
しかし、
AIにも苦手なことがあります。
それは、
「その家族だけの価値観を読み取ること」
です。
例えば、
同じ30代のご夫婦。
同じ奈良県。
同じくらいの予算。
同じくらいの土地。
条件だけを見ると、
とても似ています。
けれど、
実際にお話を伺うと、
まったく違います。
あるご家族は、
「休日は家族全員で庭に出て過ごしたい。」
という想いがあります。
別のご家族は、
「夫婦それぞれが一人になれる時間を大切にしたい。」
という価値観を持っています。
また別のご家族は、
「仕事から帰ってきた瞬間に、
旅館のような静けさを感じられる家にしたい。」
と話されます。
どれも正解です。
しかし、どれを優先するかによって、
間取りも、窓の位置も、
庭の使い方も、照明計画も、
素材選びも大きく変わります。
AIは、多くの家族の
平均的な答えを
整理することはできます。
でも
「この家族だけが大切にしている時間」
までは分かりません。
家づくりは
「問題を解く時間」ではありません
試験には正解があります。
数学には答えがあります。
法律にも基準があります。
しかし、家づくりは違います。
例えば「リビングは20帖必要ですか?」
という質問があったとします。
AIは、一般的な広さや
メリット・デメリットを
教えてくれるでしょう。
しかし、その家族が、
毎週親戚を招くのか。
夫婦二人で静かに暮らしたいのか。
お子さまがリビングで勉強するのか。
趣味の時間をどう過ごしたいのか。
そこまでは分かりません。
勿論「判断のための情報」を
プロントとして与えれば
ある程度「それらしい答え」は
返してくれます。
つまり、家づくりとは、
問題を解く仕事ではなく、
その家族だけの答えを
一緒につくっていく仕事なのです。
建築家が最初に設計するのは、
間取図面ではありません
私は、ご相談を受けるとき、
すぐに間取りを
描くことはありません。
まずお聞きするのは、
「どんな家にしたいですか。」
ではなく、
「どんな暮らしをしたいですか。」
ということです。
朝起きてから、夜眠るまで。
休日の過ごし方。
お子さまとの時間。
ご夫婦の時間。
趣味。
仕事。
来客。
将来の暮らし。
そんなお話を、
一つひとつ伺います。
それは図面を
描くためではありません。
そのご家族だけの
「暮らしの輪郭」を
見つけるためです。
建築家が最初に設計しているのは、
建物のカタチや間取り
ではありません。
暮らし方です。
「家を設計する」のではなく、
「暮らしを編集する」
私は時々、設計という仕事は
編集に似ていると感じます。
ご家族には、
たくさんの想いがあります。
理想もあります。
不安もあります。
諦めかけていることもあります。
気づいていない希望もあります。
それらを一つずつ丁寧に整理し、
本当に大切なものを見つけ、
優先順位を整え、
住まいという形へまとめていく。
だから、
建築家は「家を描く人」ではなく、
「暮らしを編集する人」
なのかもしれません。
AIの時代だからこそ、
「対話」の価値が高まる
AIは、これからもっと
進化すると思います。
住宅の性能比較も。
概算予算も。
間取りの提案も。
CGの作成も。
今以上に精度が
高くなると思います。
それでも私は、
建築家という仕事は、
なくならないと考えています。
理由は、
とてもシンプルです。
人は情報だけでは、
人生を決められないからです。
安心できる人と話すことで、
自分の考えが整理される。
何気ない会話の中から、
本当に大切にしたいことに気づく。
「その考え方は、自分たちらしいですね。」
その一言で、
迷いが晴れることがあります。
このような瞬間は、
情報だけでは生まれません。
人と人との対話だからこそ、
生まれる時間です。
だから私は、
AIが進化する時代ほど、
建築家に求められる役割は、
図面を描くことではなく、
対話を通して、
その家族だけの
判断軸を一緒に見つけること
になっていくと考えています。
建築家は図面を
描く人ではありません
設計しているのは、
家ではなく、
その家族の未来です
「建築家のお仕事は何ですか?」
新聞取材や雑誌の取材、
勿論・・住まい手さんからも
尋ねられることがあります。
私はいつも少し考えてしまいます。
もちろん、図面は描きます。
建築基準法を読み解きます。
構造も考えます。
断熱性能も。
耐震性能も。
光や風も、収納も、動線も。
予算も工事監理も。
どれも建築家に
とって大切な仕事です。
しかし、
それだけを答えにしてしまうと、
どこか違和感があります。
なぜなら、
私が毎日のように向き合っているのは、
建物そのものではなく、
その建物の中で
営まれる暮らしだからです。
図面の線一本にも
理由があります
家づくりでは、
一枚の図面の中に
何百本もの線が描かれます。
壁、窓、扉、収納、柱、家具。
それぞれ一本の線です。
しかし、その一本一本には
理由があります。
例えば、一枚の壁。
「ここに壁をつくりました。」
それだけではありません。
その壁があることで、
朝日が柔らかくリビングへ届く。
テレビの位置が決まる。
ソファに座ったとき、
庭の緑だけが見える。
来客から生活感が隠れる。
家族がお互いを感じながらも、
それぞれの時間を過ごせる。
一本の線が、
一つの暮らしをつくっています。
図面は、単なる
設計図ではありません。
暮らし方を翻訳したものなのです。
私は「要望」を
設計しているのではありません
初めてお会いしたご家族から、
たくさんのご希望を伺います。
「収納を増やしたい。」
「明るいリビングにしたい。」
「ホテルライクな雰囲気が好きです。」
「和モダンな家に憧れています。」
もちろん、それらは大切です。
しかし、私はその言葉を、
そのまま図面には描きません。
その言葉の奥にある
理由を知りたいからです。
例えば「収納を増やしたい。」
というご希望。
その理由を伺うと、
「共働きで片付ける時間がない。」
という方もいらっしゃいます。
別のご家族は、
「子どもが自分で片付けられる家にしたい。」
また別の方は、
「旅行から帰ってきても、
すぐに日常へ戻れる家にしたい。」
同じ「収納」という言葉でも、
本当に求めているものは
違います。
収納が欲しいのではありません。
暮らしに余裕が欲しい。
その想いを設計しているのです。
「ホテルライク」という
言葉の奥にあるもの
最近「ホテルライクな家にしたい。」
というご相談を
いただくことがあります。
私は、その言葉も、
そのまま受け取りません。
「ホテルライクとは、どんな時間でしょうか。」
そうお聞きします。
静かな時間でしょうか。
非日常でしょうか。
生活感がないことでしょうか。
掃除がしやすいことでしょうか。
上質な素材でしょうか。
照明でしょうか。
実際には、
皆さん答えが違います。
つまり、
ホテルライクという言葉ではなく、
その人がホテルで感じた
心地よさを設計しているのです。
数寄屋建築から学んだこと
私は昔から、
数寄屋建築が好きです。
豪華だからではありません。
佇まいが静かだからです。
必要以上に主張しない。
余白がある。
光を受け止める。
風が通り抜ける。
庭と建物が対話する。
障子越しに差し込む柔らかな光。
深い軒がつくる陰影。
季節の変化を感じる窓辺。
それらは決して
派手ではありません。
しかし、長く暮らすほど、
その心地よさが分かってきます。
私は、その考え方を
現代の住まいにも
活かしたいと思っています。
和風住宅を
つくりたい訳ではありません。
数寄屋が大切にしてきた
「暮らしを整える思想」を、
現代のライフスタイルに合わせて
再構築するという意味です。
家づくりとは、
「人生の編集」なのかもしれません
設計をしていると、
私は時々、
本を編集する仕事に
似ていると感じます。
ご家族から伺う話は、
本当にさまざまです。
朝が忙しいこと。
子どもがまだ小さいこと。
休日は庭で過ごしたいこと。
趣味を楽しみたいこと。
将来、親との同居を考えていること。
老後も安心して暮らしたいこと。
その一つひとつは、
暮らしの「断片」です。
それらを整理し、
優先順位を考え、
必要なものを残し、
不要なものを削り、
一冊の本のようにまとめていく。
それが設計です。
だから私は、
設計とは、図面を描く仕事ではなく、
人生を編集する仕事
なのではないかと思っています。
建築は、完成した日が
ゴールではありません
住宅会社では、
完成の日が一つの節目になります。
もちろん、
それはとても大切な日です。
しかし、私にとっては、
そこがスタートです。
その家で、
初めてのお正月を迎える。
子どもが成長する。
夫婦が年齢を重ねる。
親を迎える日が来る。
子どもが巣立つ。
夫婦二人の暮らしになる。
その何十年もの時間を
受け止める器が住まいです。
だから私は「完成した家」
ではなく、
「完成してから始まる暮らし」を
設計しています。
「どんな家を建てるか」より、
「どんな人生を送りたいか」
家づくりの打ち合わせでは、
設備の話もします。
性能の話もします。
予算の話もします。
でも、私が一番知りたいのは、
「どんな人生を送りたいですか。」
ということです。
休日の朝は、
どんな時間が流れていてほしいですか。
家へ帰ってきた瞬間、
どんな気持ちになりたいですか。
子どもたちには、
どんな記憶を残してあげたいですか。
十年後。二十年後。三十年後。
その家で、どんな笑顔が
生まれていてほしいですか。
その答えの中に、
本当に必要な間取りがあります。
本当に必要な収納があります。
本当に必要な窓があります。
本当に必要な庭があります。
だから私は、建物を
設計しているのではありません。
その家族が、
これから先も
自分たちらしく暮らせる
時間を設計しています。
奈良という土地だからこそ、
生まれる住まいがあります
建物を設計するのではなく、
その土地に流れる
時間を設計するということ
私は奈良で建築を考えるたびに、
一つ感じることがあります。
それは、建物は、
土地から切り離して
考えることはできない。
ということです。
同じ間取りでも。
同じ大きさでも。
同じ素材でも。
建つ場所が変われば、
住まいの心地よさは
大きく変わります。
それほどまでに、
建築は土地の影響を受けるものです。
だから私は、
設計を始める前に、
必ずその場所へ足を運びます。
朝の光を見ます。
昼の光も見ます。
夕方の空気も感じます。
風がどこから吹き抜けるのか。
遠くにどんな山並みが見えるのか。
近くの樹木はどのように季節を映すのか。
雨の日にはどんな音が聞こえるのか。
土地資料では分からないことが、
その土地にはたくさんあります。
建築家にとって敷地調査とは、
単に寸法を測る作業ではありません。
その土地が持っている
個性と対話する時間なのです。
奈良には、様々な意味を持つ
美しさがあります
奈良は、
日本の中でも
特別な土地だと私は思っています。
華やかさを競う街ではありません。
高層ビルが立ち並ぶ街でもありません。
しかし、
この土地には、
千年以上受け継がれてきた
「寺社仏閣・歴史観・広い空」があります。
朝霧に包まれる山々。
田園風景の向こうに見える稜線。
神社や寺院へ続く参道。
四季折々に表情を変える木々。
深い軒がつくる影。
風に揺れる竹林。
こうした景色は、
決して特別な観光地だけに
あるものではありません。
私たちの日常の中にも、
静かに息づいています。
だからこそ私は、
奈良で家を建てるなら、
その風景を暮らしの中へ
取り込みたいと思っています。
光を取り込むのではなく、
「光と暮らす」
設計ではよく、
「日当たりの良い家にしたい。」
というご要望をいただきます。
もちろん、
とても大切なことです。
しかし私は、光は、
たくさん入れば良いというものではない
と思っています。
例えば、夏の強い西日は、
室内を暑くする原因になります。
一方で、
冬のやわらかな南からの光は、
室内を心地よく暖めてくれます。
朝の東からの光は、
一日の始まりを
穏やかに感じさせてくれます。
また、障子を通した光と、
大きなガラス越しの光では、
同じ太陽の光でも
空間の印象はまったく異なります。
私は光を「取り込む」のではなく、
「どう暮らしの中で受け止めるか」を
設計するべきだと考えています。
だから、窓の大きさだけではなく、
窓の高さや位置、軒の出、
植栽との関係まで丁寧に考えます。
風は、設備ではつくれません
住宅性能が高くなり、
断熱性や気密性が向上した現在でも、
自然の風がもたらす
心地よさは特別です。
春のやわらかな風。
夏の夕方に通り抜ける風。
秋の乾いた風。
季節ごとに違う空気を
感じられる住まいは、
人の心まで整えてくれます。
だから私は、
敷地に立つとまず風を感じます。
風は図面には描けません。
しかし、
風の通り道は設計できます。
窓の位置。
吹き抜け。
中庭。
軒下空間。
建物の形。
それらを少し工夫するだけで、
空気の流れは変わります。
機械設備だけに頼るのではなく、
自然の力も上手に活かすこと。
それも、
奈良という土地で
住まいを設計する意味の一つです。
「借景」という日本の知恵
日本建築には、
「借景(しゃっけい)」という
考え方があります。
庭の外にある山や木々、
空の景色などを、
あたかも庭の一部であるかのように
取り込む設計手法です。
奈良は、
この借景を活かしやすい
土地が数多くあります。
遠くの山並み。
田園の広がり。
古い街並み。
神社の森。
それらは、
家の外にある景色でありながら、
窓の切り取り方ひとつで、
暮らしの風景になります。
だから私は、
窓を「光を入れるための穴」とは
考えません。
窓は、風景を切り取る
額縁でもあります。
毎朝目に入る景色。
夕暮れに染まる空。
雨の日に濡れる木々。
その一つひとつが、
住まいの豊かさになります。
時間を設計するということ
建築は、完成した瞬間が
最も美しいのではありません。
私は、十年後。二十年後。三十年後。
その時間を想像しながら
設計しています。
木は少しずつ色艶を増します。
無垢材には家族の手の跡が残ります。
庭の木々は成長し、
建物と一緒に歳を重ねます。
傷がつくこともあります。
色が変わることもあります。
しかし、それは
劣化ではありません。
家族が暮らしてきた
時間の証です。
だから私は、
「新品が一番美しい」とは
思っていません。
暮らしとともに
深みを増していく住まいこそ、
本当に美しい建築だと思っています。
奈良で家を建てるということは、
文化を未来へつなぐこと
奈良は、
日本の歴史や文化が
今も暮らしの中に息づいている地域です。
だからこそ、
新しい住まいをつくるときも、
単に流行を追いかけるのではなく、
この土地が育んできた価値を
未来へつなげたいと考えています。
それは、
和風住宅をつくるという
意味ではありません。
歴史ある町並みに調和すること。
自然を受け入れること。
光や風を味方につけること。
素材の経年変化を楽しむこと。
人が落ち着ける余白を残すこと。
そうした日本建築の知恵を、
現代の暮らしに合わせて活かすことです。
私は、それが奈良で建築を続ける
意味の一つだと思っています。
あなたが本当に
探しているもの
住まいとは、
人生を受け止める器であるということ。
ここまで読んでくださり、
本当にありがとうございます。
もし今、家づくりを考え始めたばかりなら、
もしかすると、
まだ多くのことが
決まっていないかもしれません。
土地も。
住宅会社も。
予算も。
間取りも。
平屋にするのか、
二階建てにするのか。
建て替えなのか、
リフォームなのか。
何一つ決まっていない。
それでも、大丈夫です。
むしろ、それが自然な姿です。
家づくりは、
「決まっている人」だけが
始めるものではありません。
迷っているからこそ始まるものだと、
私は考えています。
家づくりとは、
「答え」を探すことではありません
今回の投稿では、
何度も「判断軸」という
言葉をお伝えしてきました。
それは、
私自身が設計という仕事を通して、
最も大切だと
感じていることだからです。
検索をすれば、
多くの答えがあります。
AIに質問すれば、
数秒で整理された情報が
返ってきます。
住宅展示場へ行けば、
魅力的な住まいに出会えます。
SNSには、
美しい写真が毎日のように
流れてきます。
それらは、
どれも家づくりに役立つ情報です。
しかし、
情報がそのまま
答えになるわけではありません。
答えは、
いつもご家族の中にあります。
建築家の仕事は、
その答えを代わりに
決めることではありません。
まだ言葉になっていない想いを
一緒に見つけ、
整理し、住まいという形へ
育てていくことです。
家は、完成した瞬間から
「暮らし」が始まります
設計をしていると、
完成した建物を
見る機会がたくさんあります。
もちろん、
完成した瞬間はうれしいものです。
でも、本当に楽しみなのは、
その先です。
家具が入り、
家族が笑い合う日。
新しい命を迎える日。
子どもが学校から帰ってきて、
「ただいま」と玄関を開ける日。
季節ごとに庭の木が育ち、
家族と一緒に時間を重ねていく日々。
十年後、二十年後、
その住まいには
完成した当初にはなかった
空気が生まれています。
床についた小さな傷。
柱につけた子どもの身長の印。
家族写真が増えていく壁。
それらは、
決して「古くなった」のでは
ありません。
その家族が、
その家で生きてきた時間の証です。
住まいは、
新築の瞬間が完成ではありません。
暮らしが積み重なることで、
本当の意味で
完成へ近づいていくものだと、
私は考えています。
「住みやすい家」より、
「帰りたくなる家」を
住宅には、
多くの性能があります。
耐震性能。
断熱性能。
気密性能。
省エネルギー性能。
どれも、とても大切です。
安心して
長く暮らすためには
欠かせない要素です。
しかし、それだけでは、
人の心は満たされません。
仕事で疲れて帰ってきたとき。
玄関を開けた瞬間に、
ほっとする空気があること。
朝、カーテンを開けると、
やわらかな光が部屋に広がること。
休日、窓の外の緑を眺めながら、
ゆっくりとコーヒーを飲めること。
家族が自然と同じ空間に集まり、
それぞれの時間を
心地よく過ごせること。
そんな日常の積み重ねが、
「帰りたくなる家」をつくります。
性能は、
暮らしを支える土台です。
でも、その上に流れる時間こそが、
住まいの価値を育てていくのだと思います。
建築家として、
私が設計しているものごと
私は、家を設計しているだけではありません。
家は、その先にある
暮らしを支える器です。
だから私が
本当に設計しているものごとは、
朝の光の中で交わされる「おはよう」。
夕食のあと、
家族が自然と集まる時間。
庭で遊ぶ子どもの笑い声。
雨の日に聞こえる静かな雨音。
季節の移ろいを感じる窓辺。
歳を重ねても変わらず、
「この家で良かった」と思える毎日。
図面に描けるのは壁や窓や屋根。
でも、その先にある時間まで
想像しながら
設計することはできます。
私は、その未来を思い描きながら、
一つひとつの住まいと暮らしに
向き合っています。
あなたが本当に探しているもの
この記事を読んでくださったあなたへ、
最後に一つだけ
問いかけたいことがあります。
あなたが探しているのは、
本当に「家」でしょうか?
大きなリビングでしょうか?
人気の間取りでしょうか?
憧れのキッチンでしょうか?
もちろん、それらも大切です。
でも、その奥には、
もっと大切なものが
あるのではないでしょうか?
家族と安心して暮らせる毎日。
忙しい日々の中でも、
心が整う時間。
何気ない日常を、
少しだけ豊かに感じられる暮らし。
もし、そうした時間を
求めているのなら、
家づくりは「建物を選ぶこと」ではなく、
「これからの人生を考えること」
なのかもしれません。
検索することも、
AIに相談することも、
これからの家づくりには
欠かせない時代になりました。
私も、その価値を強く感じています。
だからこそ、
最後に必要になるのは、
人と人との対話だと信じています。
どんな暮らしをしたいのか。
どんな時間を大切にしたいのか。
どんな人生を、
この家で歩んでいきたいのか。
その最適解は、
検索結果の中にも、
AIの画面の中にもありません。
あなたと、
あなたのご家族の中にあります。
その想いを一緒に見つけ、
住まいという形にしていくこと。
それが、
私が建築家として
最も大切にしている仕事です。
奈良という、
この美しい土地で、
光や風、四季の移ろいを感じながら、
家族それぞれの人生を
優しく受け止める住まいを、
一つひとつ丁寧に
設計していきたいと思っています。
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■やまぐち建築設計室■
奈良県橿原市縄手町387-4(1階)
建築家 山口哲央
https://www.y-kenchiku.jp/
住まいの設計、デザインのご相談は
ホームページのお問合わせから
ご連絡ください
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