「どちらでもいいです。」を、そのまま受け取りません。
打ち合わせをしていると、
「どちらでもいいです。」
という言葉をいただくことがあります。
例えば、
床の色。
キッチンの配置。
窓の形。
収納の扉。
家づくりでは、
たくさんの選択があります。
だから、
「どちらでもいいです。」
という答えになることも、決して珍しくありません。
でも私は、
その言葉を、そのまま答えにはしません。
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「本当に、どちらでもいいのでしょうか。」
そんなことを考えます。
もちろん、
迷っているから決められないこともあります。
どちらを選んでも素敵だから、
選べないこともあります。
でも、
お話を続けていると、
少し違う理由が見えてくることがあります。
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以前、ご夫婦と床材を選んでいたときのことです。
奥様は、
「どちらでもいいですよ。」
と笑顔で話されていました。
でも、そのあと何気なく、
「主人が気に入った方で。」
という言葉が続きました。
そこで少しだけ、
今のお住まいのお話を伺いました。
すると、
これまで家具やインテリアは、
ご主人が決めることが多かったそうです。
奥様は、
「私は何でも大丈夫なので。」
とおっしゃっていました。
でも、
家づくりのお話を続けていくと、
実は、
木の質感がお好きだったり、
明るすぎる色は少し落ち着かなかったり、
ご自身の好みを、たくさん持っていらっしゃいました。
それは、
「どちらでもいい。」
ではありませんでした。
まだ、
言葉になっていなかっただけだったのです。
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家づくりでは、
正解を選ぶことも大切です。
でも、
それと同じくらい、
自分は何が好きなのか。
それに気づく時間も大切だと思っています。
「どちらでもいいです。」
という言葉の奥には、
まだ話していない想いが残っていることがあります。
だから私は、
少しだけ立ち止まって、
お話を続けます。
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設計は、
図面を描く仕事でもありますが、
同時に、
そのご家族の想いを見つけていく時間でもあります。
「どちらでもいいです。」
という言葉が、
「私は、こちらが好きです。」
に変わる瞬間があります。
その瞬間を迎えてから描く図面の方が、
そのご家族らしい家になる。
私は、そんなふうに考えています。