最初に図面を描かない理由があります。
初めてお会いした方から、
「今日は図面を描いていただけますか。」
と聞かれることがあります。
もちろん、
図面を描くことは建築家の仕事です。
でも私は、
初回の打ち合わせで図面を描くことは、ほとんどありません。
少し意外に思われることもあります。
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なぜなら、
家づくりは、
図面から始まるものではないと思っているからです。
まず知りたいのは、
どんな部屋が欲しいかではありません。
どんな暮らしを大切にしたいのか。
どんな時間を過ごしたいのか。
家族で、どんな毎日を送りたいのか。
そんなお話を伺うことの方が、
ずっと大切だと思っています。
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以前、ご相談いただいたご夫婦が、
「他の会社では、その場で間取りを描いてくれました。」
と話してくださいました。
それは、とても嬉しかったそうです。
家づくりが始まったような気持ちになった、と。
でも、そのあと少し考えて、
こう続けられました。
「でも、それが私たちの家なのかは、まだ分からなかったんです。」
その言葉が、とても印象に残っています。
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図面は、
早く描くこともできます。
でも、
ご家族のお話を十分に聞かないまま描いた図面は、
暮らしの形ではなく、
希望を並べた形になってしまうことがあります。
私は、
そのご家族にとって、
何が一番大切なのかを見つけてから描きたいのです。
その方が、
完成したあとも長く愛着を持てる家になると思っています。
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だから、
初回の打ち合わせでは、
図面よりも、
会話の方が多くなります。
「こんなことまで話すんですね。」
そう言われることも少なくありません。
でも、
その何気ないお話の中に、
設計のヒントがたくさん隠れています。
私は、
図面を描く前に、
ご家族の暮らしを思い浮かべたいのです。
その時間があるからこそ、
完成した図面が、
そのご家族らしい一枚になると信じています。