家族にとっての「ちょうどいい距離」があります。
家づくりのご相談をしていると、
「家族は仲がいいので。」
というお話を伺うことがあります。
それは、とても素敵なことです。
でも私は、
その言葉を聞くと、
もう一つだけ考えることがあります。
仲がいいことと、心地よい距離で暮らせることは、少し違うかもしれない。
そんなことです。
---
家族だから、
いつも一緒にいる方がいい。
リビングは、
できるだけ広い方がいい。
そんなイメージを持たれる方もいらっしゃいます。
もちろん、
それが心地よいご家族もたくさんあります。
でも、
一人で本を読む時間が好きな人もいます。
音楽を聴きながら、
静かに過ごしたい人もいます。
同じ家にいても、
少し離れている時間があることで、
家族との時間が、より心地よく感じられることもあります。
---
以前、ご相談いただいたご夫婦は、
「家族みんなが、いつもリビングに集まる家が理想です。」
と話されていました。
そのお話を聞きながら、
休日の過ごし方を伺うと、
ご主人は読書が好きで、
奥様は庭のお手入れが好き。
お子さんは、
自分の部屋で絵を描く時間を楽しんでいました。
それぞれ、
好きな時間の過ごし方があるご家族だったのです。
そこで私は、
「いつも一緒にいる家」ではなく、
「それぞれが好きな場所で過ごしていても、なんとなく気配を感じられる家」
をご提案しました。
---
家族との距離は、
近ければいいというものではありません。
遠ければいいというものでもありません。
そのご家族にとって、
心地よい距離があります。
困ったときにはすぐ声をかけられる。
でも、
一人になりたいときは、
ちゃんと一人になれる。
そんな距離感が、
長く暮らしていく中では大切になることがあります。
---
間取りを考えるとき、
私は部屋の配置だけを見ているわけではありません。
そのご家族が、
どんな距離感で暮らすと、
毎日を心地よく過ごせるのか。
そんなことを考えながら、
図面を描いています。
だから私は、
家族が仲良く暮らす家ではなく、
家族にとって「ちょうどいい距離」で暮らせる家をつくりたいと思っています。
その距離は、
ご家族の数だけある。
私は、そう考えています。