「収納は、多い方がいいですよね?」
「収納は、多い方が安心ですよね。」
家づくりのご相談で、本当によくいただくご質問です。
そう考えられる方は、とても多いように思います。
今のお住まいで収納に困っていれば、「次はたくさん収納をつくりたい」と思われるのは、ごく自然なことなのかもしれません。
でも私は、このご質問をいただくと、すぐには「そうですね」とお答えしないことが多いんです。
「そう思われたのは、何か理由がありますか?」
そんなふうに、お聞きすることから始めるようにしています。
すると、ご家族によって返ってくるお話は、本当にさまざまです。
「子どもの物が増えてきたんです。」
「片づけても、すぐ散らかってしまって。」
「将来のことを考えると、不安なんです。」
「今の家は収納が少なくて困っています。」
同じ「収納が欲しい」という言葉でも、その背景は、一つではないように思います。
以前、ご相談いただいたご夫婦も、
最初は「収納は多い方が安心ですよね。」とおっしゃっていました。
そこで、
「今のお住まいで、一番困っていることは何でしょう。」
と、お聞きしてみました。
すると奥様が少し考えられてから、
「収納はあるんです。」
と話してくださいました。
「でも、使う場所としまう場所が離れているので、結局その辺に置いてしまうんです。」
そのお話を伺って、
もしかすると必要なのは、収納を増やすことではないのかもしれない、と思いました。
使う場所の近くに収納を移す。
収納の大きさではなく、場所を見直してみる。
そんな工夫の方が、暮らしやすさにつながることもあるように思います。
一方で、
収納をたくさんつくらない方が、そのご家族に合っていることもあります。
「物は増やしたくない。」
「必要なものだけで暮らしたい。」
そんな価値観でしたら、
収納を増やすことよりも、その分だけリビングを少し広くしたり、窓辺にお気に入りの椅子を置ける場所をつくったり。
そんな選択の方が、毎日の満足感につながることもあるかもしれません。
収納にも、家の面積を使います。
その面積を何に使いたいのか。
そこにも、ご家族らしさが表れるように思います。
ですから、
「収納は、多い方がいいですよね?」
と聞かれても、
私は「多い方がいいですね。」とは、お答えしないことが多いんです。
まず知りたいのは、
収納の数ではなく、
どんな暮らしをしたいと思われているのか。
片づけやすい毎日を望まれているのかもしれません。
家事の負担を減らしたいのかもしれません。
物に囲まれない暮らしに憧れているのかもしれません。
その理由が見えてくると、
収納の考え方も、少しずつ変わってくるように思います。
家づくりには、正解が一つあるわけではありません。
だからこそ私は、
「収納はいくつ必要ですか。」
ではなく、
「どんな毎日を送りたいですか。」
そんなお話を、まずはゆっくり聞かせていただきたいと思っています。