「家事動線は短い方がいいですよね?」
「家事動線は、短い方がいいですよね?」
これも、ご相談の中でよくいただくご質問です。
家事が楽になりそうですし、
毎日の負担も減りそうです。
住宅の情報を見ていても、
「家事動線」という言葉を目にする機会は、とても増えたように思います。
だからこそ、
そう考えられる方が多いのも自然なことなのかもしれません。
でも私は、このご質問にも、すぐには「短い方がいいですね。」とはお答えしないことが多いんです。
「どんな家事が、一番大変だと感じられていますか?」
そんなふうに、お聞きすることから始めています。
すると、ご家族によって返ってくるお話は、本当にさまざまです。
「洗濯が大変なんです。」
「料理をしながら子どもを見ていたくて。」
「朝の支度が慌ただしいんです。」
「掃除が面倒で。」
同じ「家事動線」という言葉でも、
困られていることは、それぞれ違うように思います。
以前、ご相談いただいた奥様は、
「できるだけ家事動線を短くしたいです。」
とおっしゃっていました。
そこで、
「一日の中で、一番忙しい時間はいつでしょう。」
と、お聞きしてみました。
すると、
「朝ですね。」
というお答えでした。
詳しく伺っていくと、
洗濯よりも、
料理よりも、
家族みんなが同じ時間に洗面所へ集まってしまうことが、一番のストレスだったそうです。
そのお話を伺って、
もしかすると必要なのは、
家事動線を短くすることではなく、
朝の時間が重ならない工夫なのかもしれない、と思いました。
もちろん、
動線が短いことで暮らしやすくなるご家族もいらっしゃいます。
でも、
動線が少し長くなったとしても、
お気に入りの庭を眺めながら歩ける廊下があったり、
家族と自然に顔を合わせられる間取りになったり。
そんな時間の方が、
そのご家族にとっては豊かさにつながることもあるように思います。
「短い」ということと、
「暮らしやすい」ということは、
必ずしも同じではないのかもしれません。
ですから、
「家事動線は短い方がいいですよね?」
と聞かれても、
私は「短い方がいいですね。」とは、お答えしないことが多いんです。
まず知りたいのは、
どんな毎日を、もっと楽にしたいと思われているのか。
洗濯なのかもしれません。
料理なのかもしれません。
朝の支度なのかもしれません。
あるいは、
家事そのものではなく、
家族とゆっくり過ごす時間を増やしたいというお気持ちなのかもしれません。
その理由が見えてくると、
考えるべきことは「動線の長さ」ではなく、
そのご家族らしい暮らし方になっていくように思います。
家づくりでは、
「何メートル短くするか」よりも、
「どんな毎日を過ごしたいのか」。
私は、そんなお話を伺いながら、一緒に間取りを考えていけたらと思っています。